福山大学とコーチェットのピアコーチングプログラムの成果
福山大学と株式会社コーチェットが共同で実施したピアコーチングプログラムが、近年の学生間コミュニケーションの活性化や社会人基礎力の向上に寄与していることがポスター発表で報告されました。このプログラムは、コーチェットが提供するクラウドツール「PEER+」を活用し、大学生を対象に半年間にわたって行われました。
1. ピアコーチングとは
まず、ピアコーチングの基本的な概念について説明します。「ピア」とは、仲間や同輩を指し、ピアコーチングはこの横のつながりの中で行われる相互支援を意味します。学生同士が互いに指導し合い、成長を促すこの手法は、特にVUCAの時代(Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)に必要とされるコミュニケーション能力の育成に大きな効果を発揮しています。福山大学のキャリアデザインゼミでは、この手法を取り入れることで、学生たちの主体性や社交スキルの改善が期待されました。
2. プログラムの実施
プログラムでは、学生同士が一緒に学び合うことを重視し、様々な学部や年次が異なるメンバーで構成されたペアを組みました。この取り組みの結果、普段は話しにくかった仲間同士の交流が増え、コミュニケーションが円滑になったとの意見が寄せられています。特に1年生からは、先輩たちの目標設定についての話を聞くことができ、自身の成長を意識するきっかけになったとする声がありました。
3. 自主ゼミ運営の発展
このプログラムのもう一つの成果として、自主ゼミのリーダーの引き継ぎがスムーズに行われたことが挙げられます。4年生が卒業するにあたり、新年度に向けてのリーダーシップの役割を明確にし、2名体制で運営を行うことに決定しました。これにより、メンバー間での役割分担ができ、共同作業がより円滑に進められるようになったと言います。
4. 社会人基礎力の向上
PEER+を通じて行った自己開示や社会的スキルの測定に関する調査結果も公開されており、学生たちは次第に「傾聴力」や「発信力」などの社会人基礎力において肯定的な変化が見られるようになったとのことです。特に、プログラムの初回と2回目の実施後でのデータは、十分な成果を示しています。
5. 専門家の見解と今後の展望
キャリアデザインゼミの顧問である前田吉広教授は、学生間のコミュニケーションの強化を意識した取り組みを行った結果、参加者同士の新たな関係構築に成功したと説明しています。彼は、私たちのプログラムが学生たちの不安を和らげ、実践的なコミュニケーション能力を育成する上で、非常に効果的であると強調しました。
また、コーチェット社の代表取締役である櫻本真理氏も、学生時代からこうしたピアコーチングを経験することで、社会に出る際のコミュニケーションのハードルが下がると語っています。今後も、より多くの大学でこのような取り組みが広がることを期待しているとのことです。
6. 結論
福山大学とコーチェットのピアコーチングプログラムは、コミュニケーション能力の向上に貢献し、学生の社会人基礎力の育成に効果的であることが示されました。今後このような取り組みが増え、学生たちがより良い社会人としてのステップを踏む手助けとなればと期待されます。