LNG燃料フェリー「さんふらわあ ぴりか」進水式
2023年9月4日、広島県尾道市の内海造船因島工場において、商船三井グループの新たなLNG燃料フェリー「さんふらわあ ぴりか」の命名・進水式が行われました。この船は、2050年までにネットゼロ・エミッションの達成を目指す商船三井グループが誇る新世代の環境対応型フェリーです。
進水式の詳細
式典では、ホクレン農業協同組合連合会の篠原末治代表理事会長によって「さんふらわあ ぴりか」と命名され、篠原景子様が支綱切断を行いました。この船は2025年4月に引き渡され、商船三井さんふらわあによる大洗~苫小牧航路に就航を予定しています。これにより、商船三井さんふらわあは国内の東西航路でLNG燃料フェリー4隻体制を実現し、安定した物流と旅客輸送のサービスを提供します。
船名の由来と意味
「ぴりか」という名前の由来はアイヌ語で「美しい」や「豊かだ」を意味します。この船が地域や人々を結びつけ、美しい未来をもたらす存在であることを願って名付けられました。商船三井はこの新たな船が、伝統と未来をつなげる架け橋であると考えています。
環境への配慮
「さんふらわあ ぴりか」は高効率のLNG燃料エンジンを搭載し、「ISHIN船型」と呼ばれる独自の船体デザインを採用。また、内海造船が開発した省エネ装置を組み合わせることで、既存の北海道航路用フェリーと比べて約35%のCO2排出削減を実現します。これにより商船三井は、低炭素社会に貢献し、環境に配慮した航路運営を進めます。
快適さを追求した設計
本船はトラックの積載スペースを拡張し、さらに客室の全面個室化を実現することで、特にトラックドライバーが快適に過ごせる空間を提供します。これにより、トラック輸送の課題である「物流の2024年問題」の解決にも寄与することを目指しています。
LNG燃料タグボート「いしん」の役割
この進水式には、商船三井が所有するLNG燃料タグボート「いしん」が曳船作業を担当しました。「いしん」は2019年に竣工したもので、LNG燃料に関する知見を蓄積し、次世代のLNG燃料船の開発に寄与しています。このような知見を活かし、「さんふらわあ ぴりか」の建造にも大いに役立てられています。
将来への展望
商船三井グループは、低炭素化の推進を掲げ、クリーンエネルギーの導入戦略を強化しています。今後はLNGに代わる新たな燃料も視野に入れ、業界の先駆者として持続可能な海運ビジネスの実現を目指していきます。
このように、商船三井の「さんふらわあ ぴりか」は革新的な技術と社会的責任をあわせ持った、新しい時代を象徴する存在となることが期待されています。