豊田高専の阿波賀校長が名誉博士号を受章
豊田工業高等専門学校の校長、阿波賀邦夫氏が2023年11月19日にエディンバラ大学から名誉博士号を授与されました。この快挙は、研究や教育、国際活動における彼の顕著な貢献が原因です。
エディンバラ大学は、英国スコットランドの首都に位置し、世界大学ランキングで229位に入る名門です。阿波賀校長の受章は、日本人としては非常に稀なことでもあり、その価値は計り知れません。彼は有機エレクトロニクスにおいて、「物質合成」「基礎物性探索」「デバイス展開」を通じて新しいデバイス特性の研究に取り組んできました。この成果は、科学研究費助成事業や国際連携研究の推進にも寄与しています。
また、教育面でも阿波賀氏は名古屋大学の大学院理学研究科長や高等研究院長を歴任し、国際的な研究プログラム「グリーン自然科学国際教育研究プログラム」の統括も担ってきました。エディンバラ大学との交流を深めるため、ジョイント・ディグリープログラムの設立に関わり、学生の派遣や受け入れにも力を入れています。
阿波賀校長は、長年の共同研究者であるニール・ロバートソン教授の推薦により名誉博士号を受けることになりました。授与式は卒業式と同日で、スピーチでは名古屋大学とエディンバラ大学の強固な関係を強調し、名古屋市や豊田市の魅力をユーモアを交えて紹介しました。特に、近くにある「ジブリパーク」に言及し、その文化的な魅力を伝えることで、参加者からは大きな拍手が送られました。
阿波賀校長の研究業績
阿波賀校長は、これまでに有機強磁性体の研究に取り組み、分子間相互作用の理解を深め、世界初の純粋有機強磁性体を開発しました。さらに、より強い相互作用を持つ有機強相関電子系の研究を進め、様々な新しい有機エレクトロニクスの技術を生み出しています。室温での磁気双安定性や非線形電気伝導、巨大過渡光電流などの分野において新しい地平を切り開いてきました。最近では、化学構築と物性開拓を融合させる研究に取り組んでおり、分子性電池やキャパシターの開発に貢献しています。
これまでに、日本IBM科学賞や日本化学会学術賞、分子科学会賞など数々の賞を受賞しています。これらの業績により、阿波賀校長は国内外で高く評価されています。
豊田高専について
豊田高専は1963年に設立され、愛知県豊田市に位置しています。この学校は、社会が必要とする技術者を養成するため、中学校卒業生を対象に5年間のカリキュラムを提供しています。通常科目に加えて、専門的な技術教育を通じて実践的な能力を身に付けていくのです。卒業生の半数が国立大学などへ進学し、残りの半数が多様な産業分野で活躍しています。実践的な技術者を育成することを使命とし、豊田高専は日本の技術者教育において重要な地位を占めています。
このように、阿波賀校長の名誉博士号受章は、彼自身の業績だけでなく、豊田高専や名古屋大学などの教育機関にとっても大きな意義を持つ出来事です。今後も国際的な活動を通じて、さらなる技術者を育てることが期待されています。