高齢者の外陰部皮膚がん「乳房外パジェット病」の薬剤耐性を克服する新たな発見!
慶應義塾大学医学部と北海道大学大学院医学研究院の共同研究グループが、高齢者に多く見られる外陰部皮膚がん「乳房外パジェット病」の薬剤耐性の仕組みを解明しました。この発見は、将来的に新たな治療法の開発につながる可能性を秘めています。
乳房外パジェット病は、高齢者の外陰部に発生しやすい皮膚がんで、近年、高齢化社会の進展に伴い、患者数が増加傾向にあります。治療には抗がん剤が用いられますが、残念ながら、治療途中で薬剤の効果が弱まってしまう「薬剤耐性」が発生することが大きな課題でした。
研究グループは、マウスを用いた実験で、乳房外パジェット病の薬剤耐性モデルを樹立しました。このモデルを用いて、トラスツズマブという抗がん剤に対する薬剤耐性を調べた結果、PTENという遺伝子の消失が耐性獲得に深く関与していることが明らかになりました。興味深いことに、この遺伝子の変化は、トラスツズマブ耐性乳がんでも確認されており、乳房外パジェット病と乳がんの治療において共通のメカニズムが存在する可能性を示唆しています。
さらに、研究グループは、薬剤耐性を示す腫瘍に対して、様々な薬剤の効果を検証しました。その結果、複数の薬剤が腫瘍の縮小に有効であることが判明しました。このことは、乳房外パジェット病の薬剤耐性に対する新たな治療戦略の可能性を示唆しています。
今回の研究成果は、乳房外パジェット病の病態解明と、より効果的な治療法開発に大きく貢献すると期待されています。将来的には、薬剤耐性を克服し、患者さんのQOL(生活の質)向上に繋がる治療法の開発に繋がる可能性があります。