サファイアテラが伊藤忠食品の完全子会社化を提案
近日、米国のシカゴに拠点を置くサファイアテラ・キャピタルが、伊藤忠食品株式会社の完全子会社化を提案した。この提案は、親会社である伊藤忠商事が同社の株式を公開買付えにより完全子会社化することに関するもので、伊藤忠食品の企業価値向上を目指している。
サファイアテラの背景
サファイアテラは、日本株へのエンゲージメント投資に特化したファンドを運用しており、2023年から伊藤忠食品に対する投資を拡大している。その中で、同社は伊藤忠食品の株価が企業価値を適切に反映していないという認識を持っている。特に、親会社の影響を受けやすい立場にあり、高評価を得られない要因があると分析している。
提案内容
1. 親子上場解消の提案
サファイアテラは、伊藤忠商事が公開買付を行うことにより、伊藤忠食品を完全子会社として取り込むことが合理的であると考えている。これにより、資本関係が整理され、透明性が確保されることが期待される。提案された対価としては、DCF分析に基づく1株14,000円で、現在の株価9,300円に対して50.5%のプレミアムがつくことになる。この評価は、同社の業界における競争優位性や成長期待を考慮した合理的な水準であるとされている。
2. 特別配当の提案
もし伊藤忠食品が完全子会社化を選択せず、上場を維持する場合には、同社が保有する余剰現預金を特別配当として還元する過程が推奨されている。提案された特別配当の額は1株あたり計7,000円で、総額887億円に上る。この特別配当を実施することで、同社の資本効率が改善され、ROEが7%台から20%台に大幅に上昇する可能性があるとサファイアテラは見込んでいる。
期待される影響
サファイアテラは、伊藤忠食品の取締役会がこれらの提案を真摯に検討し、早急に実現することを期待している。このプロセスが進むことで、少数株主をはじめとする市場参加者への信頼性が高まり、同社の評価が向上する効果が期待される。これにより、伊藤忠食品はより健全な資本構成と企業価値向上を図ることができるだろう。
顧客および投資家にとっても、透明性の高い企業運営が行われることは歓迎されるはずだ。今後の動向に注目が集まる。