IHIと英国SatVu社の強力な提携体制の構築
IHI(株式会社IHI)は、熱赤外線(IR)センサーを搭載した小型衛星を開発・運用する英国のSatVu社との協力を発表しました。この連携は、日本の国家安全保障や経済安全保障市場に向けた熱赤外線衛星のコンステレーション構築を目指したもので、両社の技術と経験を生かすことで、日本の主権性を確保し、デュアルユース(軍民両用)のアプローチを可能にします。
2025年9月10日(水)、ロンドンで開催される防衛イベント「DSEI UK」において、両社はこの観点からの覚書(MoU)の締結式を予定しています。SatVu社は2023年に初の衛星「HotSat-1」を打ち上げ、次世代の「HotSat-2」「HotSat-3」の展開も見据えています。これにより、その高解像度のIR画像技術を活用し、国の安全保障、経済状況、さらには災害対応の分野にも寄与していく考えです。
産業が期待するIR衛星技術の重要性
衛星技術は、国の安全保障や経済活動、インフラの監視において非常に重要です。SatVu社の技術により生成される高解像度IR画像は、さまざまな分野での活用が期待されており、日本政府の安全保障能力の強化にも役立つでしょう。今般の協業により、両社はこの技術の活用方法を具体的に検討し、日本国内でのIR衛星コンステレーションの整備方針を強化していく方針です。
IHIは、宇宙関連事業の一環として、フィンランドのICEYE社との協業も進行中です。同社は最大24基のSAR衛星を用いたコンステレーションを整備し、安全保障や商業利用のための地球観測データ提供を目指しています。これらすべての試みは、日本の宇宙産業を発展させ、地球観測の分野での国際連携を深めるものです。
日本と英国のパートナーシップの向上
2023年の「広島アコード」において、宇宙と防衛の分野で日本と英国の関係性が強化されていると示されました。そして日英防衛相会談を経て、両国は衛星技術を通じた新たな協力方法を見出していくことが期待されています。こうした国際的な連携が強化されることによって、不安定な地政学の状況の中で日本の安全保障を支える力となることでしょう。
IHIの取締役常務執行役員である佐藤篤氏は、「国家の戦略的利益を共有する国々との協力が重要で、高解像度IRデータは公益のために大いに役立つ可能性がある」と述べています。SatVu共同創設者兼CEOのアンソニー・ベイカー氏は、IHIとの提携によって、国の安全保障だけでなく産業や気候モニタリングなど幅広い分野での革新を目指しています。
未来の地球観測への期待
SatVuは、熱赤外線衛星技術の先進的なスタートアップであり、その技術は今後さらなる可能性を秘めています。高解像度の赤外線画像を生成する同社の取り組みが、国家安全保障や経済、環境問題の解決にどう寄与するのか、多くの人々が注目しています。
今後も、IR衛星を含む様々な衛星技術の発展が期待されており、我々はその成果を通じて、より豊かで安全な社会を築いていくことができるでしょう。日本と英国の間で進められるこの新たな取り組みは、宇宙産業の未来に向けた重要な一歩となること間違いありません。