「オープンコート訴訟」ー法廷の“秩序”を問うー
2024年11月13日、東京地裁に「オープンコート訴訟 ー法廷の“秩序”を問うー」が提起されました。これは、3名の原告が、裁判官から傍聴中の服装を理由に制約を受けたとして、国家賠償を求める画期的な訴訟です。
原告は、性的マイノリティの人権運動に取り組む法学者の鈴木賢氏、袴田事件の支援活動を行う清水一人氏、そして袴田事件の弁護団事務局長である小川秀世氏。それぞれ、裁判官から、靴下のレインボー柄、パーカーの「HAKAMADA」の文字、そして袴田サポーターズ・クラブのバッジを隠すよう命じられました。
この訴訟は、裁判官の法廷警察権行使の範囲と、現代社会において求められる開かれた法廷のあり方について議論を巻き起こす可能性を秘めています。
過去の「レペタ訴訟」との関連性
かつて、法廷では傍聴人のメモを取る行為が禁止されていました。しかし、この違法性を争った「レペタ訴訟」は、1989年の最高裁判決により、傍聴人がメモを取れる環境を獲得しました。本訴訟は、「令和のレペタ訴訟」として、現代社会における開かれた法廷の必要性を訴えるものです。
法廷警察権行使の範囲
裁判所法71条2項は、裁判官が法廷警察権を行使できるのは、「法廷における裁判所の職務の執行を妨げる」者か「不当な行状をする者」のみと定めています。
しかし、原告らは、法廷警察権行使の要件を満たさない状況で、服装を理由に制限を受けたとしています。靴下やバッジ、パーカーの文字は、社会的に問題となるようなものではなく、裁判官の職務を妨げる行為とはみなせません。
訴訟の意義
本訴訟は、裁判官の法廷警察権行使の範囲について明確な法的解釈を求めるものです。また、裁判所が国民にとってより開かれた存在であることを目指す上で、重要な一歩となる可能性があります。
訴訟の支援
本訴訟は、認定NPO法人CALL4のサポートを受け、CALL4サイトにて訴訟費用を募るクラウドファンディングを実施しています。また、LEDGE(レッジ)も支援活動を行っています。
開かれた法廷への期待
本訴訟は、裁判官の法廷警察権行使の是非だけでなく、裁判所の透明性や国民との信頼関係の構築について、社会全体で議論を深めるきっかけとなるでしょう。今後の裁判の進展に注目が集まります。