次世代を担う高校生を育成するSTEAM型プログラムの新モデル
最近、東京大学生産技術研究所とDNPが共同で開発した「STEAM型次世代育成プログラム」が話題を呼んでいます。このプログラムは、高校生と社会人が協力し合いながら、自らの問いを立てる力を育成するためのカリキュラムであり、社会での実践的なスキルを提供することを目指しています。
プログラムの背景と必要性
現在、国内外で自ら問いを立て、課題解決能力を持つ人材が求められています。教育の現場では、学生の興味を基にした探究学習や企業との協業による体験学習が重視されており、DNPと東京大学はその需要に注目しました。このプログラムは、自らの個性を生かし、社会課題に取り組むための能力を育てる必要性から生まれました。
DNPと東京大学の取り組み
DNPは教育事業でのノウハウを基に、STEAM型教育を取り入れたプログラムを体系的に設計しました。学生は、自分の興味に基づいた課題を見つけ、それに対する解決策をチームで考え、企業人と共に実践することでリアルな学びを得ることができます。
プログラムの概要
このプログラムでは、高校生が自らの問いを立て、具体的な解決策を考える参加型のアプローチが採用されています。また、多様性を理解し、ユーザーにとって使いやすい製品やサービスを提供するために、ユニバーサルデザイン(UD)の観点も重視されています。高校生と社会人がチームを組んで挑むことで、実社会の課題を自分事として探究することができます。
メンター制度
企業の社員はメンターとして参加し、高校生とのチーム学習を通じて自らの成長も促進します。メンターは事前にコーチング手法を学び、学生の学びをサポートしながらリーダーシップやチームマネジメントスキルを養う機会を得ます。
実証実験の成果
2024年7月から9月にかけて、プログラム開発のための実証実験が行われました。DNPグループの社員や東京大学の大学院生がメンターとして関与し、探究学習を重視した関東エリアの高校生が参加しました。基調講演には、東京大学の熊谷晋一郎教授や、視聴覚障害体験ワークの講師が招かれ、ワークショップは企業の専門家が担当しました。
学生と社員の声
参加した高校生は「初めて社会課題を見つけ、アイデアを形にする経験ができた」と評価し、メンターとなった社員も「異なる年代のメンバーとの協働で視野が広がった」との感想を寄せました。
今後の展望
DNPは今後、多様な業界と連携しながらさらなる実証実験を続け、高等学校での授業にプログラムを組み込む計画です。また、2025年度中には企業研修プログラムとして提供を開始し、2025年の大阪・関西万博では「STEAM型アイデア創出」と題したワークショップも予定しています。
このプログラムは、次世代を担う人材を育てる新しいモデルの先駆けとなるでしょう。自らの問いを立て、解決策を生み出す力を身につけることで、いかなる社会課題にも立ち向かう人材の輩出が期待されています。