Space QuartersがJAXAと共同研究を開始
株式会社Space Quarters(本社:東京都渋谷区)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同研究開発を2024年度から開始すると発表しました。このプロジェクトでは、「月面・軌道上における壁面自走型の電子ビーム溶接ロボットによる金属・レゴリス材料の革新的接合技術」が提案され、採択される運びとなっています。
このプロジェクトの目的は、月や火星のような重力天体での探査活動に役立つ技術を生み出すことです。JAXAは、地上の技術課題の解決と合わせて、国内の産業界や大学と共同で革新的な技術開発を進めていくことを目指しています。すでに、宇宙探査イノベーションハブの一環として、様々な研究が展開されており、その成果は宇宙利用に留まらず、地上での社会実装にも繋がるとされています。
重要性の高まる宇宙での材料接合
宇宙空間での材料接合技術は、今後の宇宙探査を進めるために非常に重要です。例えば、材料を現地で接合できる技術があれば、宇宙空間での構造体製造や修理が効率的に行えるようになります。このことにより、輸送時に半完成体や構造材料のままで運ぶことが可能になり、宇宙探査における資材の輸送量を削減することができるのです。
特に、月面のようなところでは、現地の材料を使用して建材を接合する技術が確立されれば、資材の輸送がぐっと楽になるため、月面基地建設にも大きく寄与すると考えられています。
新たなロボット技術の開発
このプロジェクトに関連して、Space Quartersは、自動遠隔操作型ロボットによる革新的な材料接合技術の取得を目指しています。ただし、地上における無人材料接合は、通常、ロボットアームに基準点を持つ据え付け設置型であるため、宇宙空間において基準点を設定するのは難しい課題です。このため、自走型ロボットでの材料接合技術が求められています。Space Quartersは、これらの課題を解決し、新たな技術を開発していきます。
未来への展望
Space Quartersとしては、この研究開発プロジェクトを通じて、JAXA、大林組、オリガミ・イーティーエスと協業し、自動接合技術及び金属/非金属接合技術の確立を目指しています。その結果として、一定以上の接合強度を持つ成果を得ることが期待されています。
Space Quartersは、月面探査に必要な各種構造体や基地の建築技術の開発に注力しており、それだけでなく、将来的な宇宙利用全般に向けた応用を見据えています。宇宙建築を推進するスタートアップとして、これからの宇宙開発に貢献したいと考えており、人類が宇宙を生活圏として捉える未来の実現に向けて歩み続けます。
企業情報
株式会社Space Quartersは、宇宙空間での電子ビーム溶接技術を用いた大型構造体の建築サービスを提供しています。代表取締役の大西正悟氏がIHIやWHILLの出身で、2022年6月に設立されました。「人類が宇宙を生活圏とし可能性を広げ続ける世界を創る」ことをビジョンとして、次世代の宇宙建築技術の開発に取り組んでいます。
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