HIV陽性者による服薬継続と日常生活の工夫に迫る調査結果
HIV陽性者と服薬継続の実態
ヤンセンファーマ株式会社が実施した「生活と服薬継続に関する調査」によれば、HIV陽性者の78%が服薬を問題なく続けている一方で、約半数が服薬に対して負担を感じていると回答しています。この調査は、HIV感染症の治療における服薬の重要性が高まる中で行われ、患者の日常生活に及ぼす影響や工夫が探られました。
HIV感染症の経過と治療
HIV感染症は、約30年前には致死的な疾患とされていましたが、適切な医療によって長期的に日常生活を送れる病気に変わりつつあります。現在は「慢性疾患」として認識され、定期的な受診と服薬が重要視されています。調査は特定非営利活動法人ぷれいす東京と連携し、HIV陽性者がどのようにして服薬を続けているかを明らかにすることを目的としています。
主要な調査結果
初めて抗HIV薬を目の当たりにした印象
調査によると、76%の患者が初めて抗HIV薬を見たときに違和感を覚え、薬剤のサイズに86%、色に65%が違和感を感じたと報告されています。これは、服薬への不安の裏付けとも考えられます。
薬の選択と優先点
服薬開始時に医師との相談で、最も重視される要素は1日の服薬回数で53%、次に治療効果42%、副作用への影響が31%でした。これらの選択要因は、患者のライフスタイルに合ったかどうかが鍵となります。
服薬に対する負担感
約8割が「問題ない」と答える一方で、服薬が続いている人の中でも41%が「非常に負担を感じる」と述べており、服薬を続けることが決して楽ではない状況が示されています。特に95%以上の患者でも負担を感じる人が多い点が注目です。
継続する動機
継続服薬の理由としては、93%が「検査値の維持」、92%が「体調の維持」、71%が「仕事・学校との両立」を挙げています。治療効果のみならず、社会生活の維持も大きな要因となっています。
飲み忘れ防止の工夫
飲み忘れに対する工夫として、約70%の患者がピルケースを利用。飲み忘れの原因は多く、酔って忘れたり、忙しさに紛れてしまうことが多いようです。そのため、アラームを設定したり、薬を目立つ場所に置くなどの工夫が広まっています。
医療者からのコメント
都立駒込病院の今村先生は、「HIV陽性者による服薬への日常の努力が今の予後改善に繋がっている」とし、安心して治療を続けられる医療環境の整備が必要性を訴えました。また、ぷれいす東京の生島代表は、「早期発見が重要だが、社会の知識更新が遅れており、感染者が直面する報告が難しい」との見解を示しました。
調査概要
この調査は2012年に実施され、質的調査と量的調査が併行して行われました。質的調査では20名、量的調査では151名がアンケートに回答しました。陽性と判明してからの平均は7.2年で、関東在住者が56%を占めています。62%が就業中で、58%が一人暮らしという結果が得られました。ヤンセンファーマでは、未だ解決すべき医療ニーズに対応することが最も重要であるとの姿勢を示しています。
会社情報
- 会社名
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ヤンセンファーマ株式会社
- 住所
- 東京都千代田区西神田3-5-2
- 電話番号
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03-4411-5046