東京藝大教授が教える西洋美術の新たな視点
2024年9月12日、世界文化社から新たに登場する書籍『東京藝大で教わる西洋美術の謎とき』は、東京藝術大学美術学部教授の佐藤直樹氏による、専門的な視点を取り入れながらも親しみやすい内容の西洋美術の教養書です。この書籍は、前作『東京藝大で教わる西洋美術の見かた』の続編として位置づけられています。
研究者でありながら一般読者に向けて書かれたこの本は、特に専門用語を避け、普段文学や美術に接しない人でも理解しやすいスタイルで構成されています。しかし、学問的な厳密さは失われていないため、美術に興味を持つすべての人にとって楽しめる内容になっています。全12テーマにわたる西洋美術に関するさまざまな謎が解き明かされる構成となっており、絵画を味わう感覚が伝わってきます。
本物とは似て非なる版画の流布
本書では、アルブレヒト・デューラーの版画《犀》に着目します。この作品には、実際のインド犀とは異なる二本目の角が描かれている点が特徴です。このような描写がいかに広く流布し、情報が誤って伝わるのか、その過程を探ります。優れた芸術作品は、時として現実とは離れた印象を持たせ、多くの人々にとって真実であるかのように信じ込ませる力を持っています。これは美術の奥深さを感じさせる一例です。
マネキンを巡る画家の欲望
また、本書では画家がどのようにマネキンを利用してきたのかについて考察します。生身のモデルを必要とすると、時間や金銭がかかるため、マネキンが代わりに使われる場面が多いのです。しかし、その使用目的は時代とともに変わり、特に世紀末ウィーンでは、マネキンが新たな美の象徴として立ち現れてきます。その変遷を深堀りし、画家とマネキンの複雑な関係を分析します。
岸田劉生の写実的描写
さらに、岸田劉生の作品にも焦点が当たります。彼の人物画に見られる「瞳に映る窓」の描写技法は、写実的な表現の新境地を開いたものとして知られています。しかし、彼は生涯ヨーロッパへ行くこともなく、代表的な名画に触れる機会もありませんでした。そんな中、彼がどのようにこの技法を習得したのか、その秘訣に迫ります。
著者プロフィール
著者の佐藤直樹氏は、東京藝術大学で教授として教鞭をとりながら、ドイツと北欧美術史を専門としています。彼はその他にも多くの著書があり、今回の書籍もその一環です。彼の豊富な経験と知識は、この本を通して多くの読者に新たな美術の視点を提供することでしょう。
書籍概要
『東京藝大で教わる西洋美術の謎とき』という一冊は、978ページ構成で、2024年9月12日に発売予定。定価は1,980円(税込)となります。興味のある方は、ぜひ手に取ってみてください!