中古マンション価格の推移と万博の影響
株式会社LIFULL(ライフル)の運営する不動産情報サービス『LIFULL HOME'S』が、新しい分析結果を発表しました。2025年に閉幕予定の大阪・関西万博会場周辺エリアの中古マンション価格が、万博開催決定前からの推移を示しています。このエリアは、跡地の利用が期待されており、交通の利便性向上が重要な要因として挙げられています。
大阪・関西万博がもたらした交通の変化
今回の万博では、大阪メトロ中央線の新駅『夢洲』が開業し、周辺地域の交通インフラが充実しました。閉幕後には、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開設も見込まれ、大阪市中心部と夢洲間のアクセス改善策が進行中です。過去の1970年の大阪万博でも、周辺地域の交通整備が行われ、隣接する千里ニュータウンの住宅開発が活発になったことを踏まえると、今回の万博の影響も同様に期待されます。
中古マンション価格の具体的な動向
LIFULL HOME'Sは、万博開催前の2018年11月から2025年8月までの価格推移を分析しました。この6年半の間に、大阪市全体では中古マンション価格が約1.7倍に増加したのに対し、万博周辺エリアでは約1.3倍と、比較的緩やかな成長にとどまっています。例えば、万博開催決定時の相場は2,167万円でしたが、2025年8月には2,690万円に達する見込みです。これは、大阪市中心部の価格上昇幅(約2.5倍)と比較すると穏やかです。
この背景には、万博周辺エリアが工業地域と居住エリアを併せ持つため、価格の高騰が抑制されている点が挙げられます。
地域ごとの価格推移
中でも、港区の価格上昇が目立っています。港区は、万博が決定した2018年11月の価格2,238万円から、2025年8月には3,469万円に達する見込みで、開催決定時に対して約1.5倍の上昇率です。次いで住之江区が約1.3倍、此花区が約1.2倍、大正区が約1.1倍と続いています。
アクセスの改善が進む港区では、大阪メトロ中央線への接続駅『弁天町』周辺の改良工事も進行中で、これがさらなる価格上昇に寄与していると考えられます。
今後の展望と期待
EXPO‘70と同じく、万博会場周辺エリアの開発には将来性が期待されています。LIFULL HOME'Sのチーフアナリスト、中山登志朗氏によると、前回の大阪万博により千里ニュータウンでの住宅開発が活性化した歴史を考えれば、今回の万博もそのような効果を持つ可能性があるとしています。
ただし、今回は予定される長期滞在型リゾートシティとしての活用があり、万博閉幕後の開発計画は未定ですが、周辺地域の居住ニーズは高まり続けています。特に、大阪湾岸エリアに分譲されている住宅は、手頃な価格で魅力的な選択肢となるでしょう。
これに加えて、現在のマンション価格の高騰が続く中で、大阪湾岸エリアが東京の湾岸エリアのように発展する可能性もあるとのことで、今後の開発状況に注目です。大阪万博がもたらす影響が、どのように地域の発展につながるのか、期待が膨らみます。
調査概要
- - 抽出期間:2017年1月~2025年8月
- - 対象物件:LIFULL HOME'Sに掲載された大阪市内の中古マンション
LIFULL HOME'Sは、信頼性の高い不動産・住宅情報サービスとして、今後も市場動向を追跡し、皆様に役立つ情報を提供し続けていきます。