バーバパパと陶芸の特別な出会い
今年、バーバパパが誕生してから55年、そして国立工芸館が東京から金沢に移転して5年を迎える特別な年に、土の魅力を再発見する「想いをぎゅっとやきものワークショップ」が開催されました。このワークショップは、株式会社スタイリングライフ・ホールディングスと国立工芸館、国立アートリサーチセンターが共催し、多くの小学生が参加する中で、土と向き合う時間を持ちました。
バーバパパとは何か?
バーバパパは1970年、フランスの絵本として生まれました。数学者と建築士の出会いから誕生したこのキャラクターは、自由自在に形を変えられる不思議さで、世界中の人々に愛されています。バーバパパのファミリーはそれぞれ異なる個性を持つ7人の子どもたちを囲み、創造力をかきたてるシーンが多数描かれています。彼らからは、家族や友人、自然への愛についてのメッセージが溢れています。公式サイトもぜひ訪れて、彼らのストーリーを知ってください。
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ワークショップ当日の様子
今回のワークショップには、小学生32名が参加しました。活動は、講師の陶芸家・十一代大樋長左衛門さんの指導の下、心を整えた後にスタートしました。大樋さんは、ただ土に触れるだけではなく、「人と土のつながりを大切に」とする思いを伝えました。子どもたちは、自身の家族や友達を思い描きながら、作品作りへの期待を膨らませました。
茶碗作りの挑戦
ワークショップは、まず茶碗作りから始まりました。参加した子どもたちは、1キロの土を使い、手を動かしながら力を合わせて成形に挑戦しました。中には、土の感触を楽しみながらも初めての挑戦に戸惑う子もいましたが、その過程で個々の形や表情が生まれることに喜びを感じていました。完成した茶碗も、どれも不揃いながら、そこには作り手の思いが込められた温もりのある作品に仕上がりました。
自由制作の楽しさ
後半は自由制作に取り組みます。もう一つの茶碗を作ったり、動物やキャラクターの置物を作成する子どもたちもいました。彼らの想像力は自由奔放で、様々な形や模様が次々に生まれました。土に向かう時間は自然と笑顔を引き出し、出来上がった作品に満足そうな表情が広がっていました。
通常の粘土や砂場の土とは異なり、焼き物用のしっとりとした土を使ったことで、より特別な体験となりました。「形にすること」と「想いは廻ること」という二つの喜びを体感し、バーバパパと過ごしたこの一日が、参加した子どもたちにとって心に残る思い出となることでしょう。
国立工芸館の役割
国立工芸館は、1977年に東京に開館し、工芸とデザイン作品を専門に扱う美術館として45年以上の歴史を持ちます。2020年には金沢に移転し、様々な作品を収集・保存しつつ展覧会やプログラムを通じて新しい魅力を発信しています。工芸やデザインの世界に触れる場として、地域に根ざした活動を続けています。
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講師プロフィール
講師・十一代大樋長左衛門さんは、江戸時代から続く茶陶の大樋窯の後継者であり、その活躍は国内外に広がっています。茶陶の滅びを身をもって防ぎ、伝統を継承しながら革新を続ける姿勢に多くの人々が魅了されています。金沢大学の客員教授としても活躍し、デザインや美術の分野で評価を受け続けています。
このワークショップを通じて、多くの子どもたちが土の温もりを感じ、バーバパパの心も受け継ぐことができたのではないでしょうか。製作を通じて生まれる様々な想いが、今後も育まれていくことを期待しましょう。