年金ナビ、新たなシミュレーターを公開
日本の年金制度では、原則として65歳から年金受給が開始されます。しかし、60歳で受給を繰り上げることや、75歳まで繰り下げることも可能です。この選択肢を選ぶことで、受取額に大きな違いが生じることがあります。2022年の年金制度改正により、繰下げ受給の上限が70歳から75歳に引き上げられたこともあり、今後これらの選択を考える人が増えるでしょう。
このたび公開された「損益分岐点シミュレーター」は、年金ナビが提供する新しいツールです。受給を開始する年齢によってどの時点で累計受取額が逆転するのかを、視覚的に示してくれます。このシミュレーターは、年金受給に関する複雑な判断をサポートしてくれる心強い味方です。
繰上げ・繰下げ受給のメリットとデメリット
繰上げ受給は、60歳から年金を受け取ることができるため、生活費に困っている方にとっては一見魅力的です。しかし、実際には受け取る月額は本来の76%に減額され、生涯にわたってこの状態が続くことになります。一方、繰下げ受給を選ぶと受取額が増加し、最大84%の増額が見込まれますが、その分、受取開始が遅れるため、どちらの方法が自分にとって得かをしっかり考える必要があります。
シミュレーターの機能
このシミュレーターでは、65歳時点の年金見込額を入力し、最大で5つの受給開始年齢の組み合わせを同時に比較できます。出力される情報には、以下の内容が含まれています。
1.
累計受取額の推移グラフ: 受給開始年齢ごとの60歳から100歳までの累計受取額を折れ線グラフで表示。
2.
損益分岐年齢の一覧: 各組み合わせでの損益分岐年齢を表示。
3.
平均余命との比較: 厚生労働省のデータを基に、現在の年齢に応じた平均余命との比較を行います。
4.
月額受取額の比較表: 各受給開始年齢での月額受取額を比較でき、視覚的に理解しやすくなっています。
繰下げ受給前の注意点
繰下げ受給には受取額が増える利点がある反面、以下のデメリットも考慮する必要があります。
- - 加給年金が受取れない可能性: 繰り下げを行うと、加給年金が支給停止になり、結果的に受取可能な額が減少します。
- - 税金・社会保険料の増加: 年金額が増えることで、各種税金や保険料が増食される可能性があります。
- - 在職老齢年金との関係: 65歳以降も働く場合、賃金と年金の合計が一定額を超えると年金の一部が支給停止となることがあります。
シミュレーター活用のヒント
このシミュレーターは、様々なシナリオに応じて活用できるため、多くの人にとって有益です。例えば、定年退職を控えた50代後半の方は、繰上げ受給と繰下げ受給の数字を比較することで、退職後の収入計画を立てやすくなります。また、すでに65歳を迎えたが受給手続きをしていない方も、直感的に受給開始のタイミングを判断する助けになります。
今後のアップデート計画
年金ナビは今後、遺族年金や障害年金の受給要件をチェックする機能や、iDeCo・企業年金との最適化ツールの追加を予定しています。年金制度は非常に複雑で、受給方法によって生涯の受取総額が大きく変わるため、しっかりとした事前の理解が求められます。本ツールはその一助として活用できるでしょう。
詳細は
こちら。