コロナ禍における障害者雇用の新たな働き方
- - 一般社団法人企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)は、障害のある社員の新型コロナウイルス感染症の影響による働き方の変化についてのアンケート調査を実施しました。この調査は、37の会員企業で働く障害者を対象に行い、計657件の有効回答を得ました。
調査結果の概要
調査の結果、コロナ禍の影響で多くの障害者が「在宅勤務」や「時差通勤」に移行しました。実に回答者の半数以上がこのような働き方を選んでおり、さらに9割の社員が一時的または長期にわたり在宅勤務を経験したことがわかりました。これにより、通勤が困難な障害者からは在宅勤務を希望する声が高まっており、コロナ収束後もこの柔軟な働き方の継続を望む意見が多く寄せられています。
"元の環境に戻ってほしい"という意見は僅か25%であり、残りの大多数は時間や場所にとらわれない働き方を求めているのが現状です。
一方で、在宅勤務の課題も浮き彫りになっています。具体的には「時間管理が難しい」「体力を保つのが困難」「自宅の通信環境が悪い」「会社から機器が支給されない」といった声が上がっています。
障害特性別の課題
障害特性別に見ると、聴覚障害のある社員の9割が「マスク着用による会話の困難」を感じています。一方、在宅勤務でのオンライン会議は、情報を文字として保存できることから、生産性が向上したという回答も多く、特に「読み返しができる」点が好評です。こうした情報共有の広がりは在宅勤務のメリットとして評価されています。
また、精神・発達障害のある方からも、「表情を掴みにくく不安を感じる」といった指摘があり、マスク着用の影響が広範であることがわかります。
今後の取り組み
ACEは本調査の結果を基に、今後の活動に活かしていく方針です。各部門での検討や総会での議論を通じて、障害のある社員のエンゲージメントを高める方策を模索しています。特に少数意見を無視せずに「障害の社会モデル」への挑戦に取り組み、誰一人取り残されない社会を実現するためのアプローチを強化する予定です。
社会全体で協力し合い、各企業が直面している課題に対する解決策を見つけることが重要です。この調査結果は、ACE会員企業同士の協働を通じて、社会貢献につながる取り組みを進めていくための基礎資料となります。
調査概要
- - 目的:障害のある社員のコロナ禍における働き方の変化を調査し、課題解決の提言を行うこと。
- - 調査期間:2020年10月20日から11月9日。
- - 調査方法:ACE会員企業に勤める障害のある社員に対するWebアンケート。
- - 有効回答数:657件。
ACEについて
ACEは、2013年に設立され、「障がい者雇用の新しいモデル確立」を目指して活動しています。人事担当者や障害のある社員向けのセミナーやワークショップを通じて、当事者への啓蒙活動を行い、経営者や社会への提言を続けています。
詳細はACEの
ホームページをご覧ください。