スチュワードシップ・コード見直しがもたらす企業と投資家の新たな対話の形

スチュワードシップ・コードの意義と改訂内容

2023年に実施されたスチュワードシップ・コードに関する有識者会議では、金融庁が主導する形で企業と投資家の関係を更に深めるための改訂案が議論されました。この改訂は、企業価値向上のための建設的な対話を目指し、実質株主の透明性向上や協働エンゲージメントの推進に重点を置いています。

1. 実質株主の透明性向上

改訂案では、機関投資家が投資先企業との対話において自らの株式保有状況を開示することが求められています。この透明性の向上は、企業と投資家間の信頼関係を構築する上で非常に重要です。実質株主の情報が適切に共有されることで、企業側も投資家のニーズを把握しやすくなり、より意味のある対話が実現するでしょう。

日本の機関投資家は、今後実質株主に関する情報を積極的に開示し、透明性を確保していく必要があります。例えば、保有株数やその理由を明確に説明することが求められるようになります。これにより、投資先企業も適切な経営判断を下すことができ、企業価値の向上に寄与します。

2. 協働エンゲージメントの重要性

改訂案では、協働エンゲージメントの促進も大きなテーマとして取り上げられました。投資家同士が連携し、共同で企業と対話を行うことで、より多くの視点が反映され、建設的な意見交換が可能になります。このような協働は、資本効率の向上や環境問題への対応など、さまざまなテーマにおいて効果を発揮します。

協働エンゲージメントは、今後特に注目されるべき対話のスタイルです。具体的なテーマが異なる場合でも、共通の目的に向かって協力することで、力強いメッセージを企業に送ることができます。