岡山大学が挑むキャッスルマン病の新たな国際診断基準

岡山大学、国際的なキャッスルマン病診断基準を策定

国立大学法人岡山大学は、特発性多中心性キャッスルマン病（iMCD）における国際的な組織診断基準を初めて確立しました。この診断基準は、日本、アメリカ、欧州の専門家たちが連携し、組織学的所見を基にした基準です。これまで、iMCDはその臨床症状や組織像に多様性があり、診断が困難であったことから、診療や研究における統一性が欠けていました。

診断基準の背景

iMCDは全身のリンパ節の腫れや発熱、体液貯留といった症状を伴う難治性の希少疾患です。そのため、正確な診断が求められてきましたが、客観的な診断基準が存在しなかったため、多くの医療現場で混乱が生じていました。本研究グループは、専門家らと協力し、iMCDの特定の組織学的亜型を定義し、5つの所見を点数化することでこの問題を解決する道を開きました。

基準確立の意義

今回の基準確立により、世界中の研究者は同じ病理指標で症例を評価できるようになります。これにより、診断の精度が向上し、診療の質も大きく改善されることが期待されています。また、基準の国際的統一は、今後の病因解明や新たな治療法開発を促進するための重要な一歩と言えます。

機械学習を活用した研究

この研究では、機械学習を用いて診断の再現性を確認しました。これにより、医師たちは各亜型の特性に応じた適切な治療法を選定しやすくなることが予想されています。岡山大学の西村碧フィリーズ講師は、「病理医として診断の難しさを感じていましたが、今回の基準確立は臨床における治療の選択肢を広げる可能性を秘めている」と語っています。