最近、韓国が直面している少子化問題は、もはや単なる社会現象ではなく、国家存亡に関わる深刻な課題となっています。2023年の韓国の出生率は、なんと0.72という信じがたい数値を記録しました。この低さは、OECD加盟国の中でも特に際立っており、深刻な危機を物語っています。日本の出生率が1.20であることを踏まえると、韓国の状況は異常と言わざるを得ません。
著書『韓国消滅』の著者、鈴置高史氏は韓国社会の現実を冷静に分析しています。韓国は生産年齢人口のピークを2019年に迎えており、これから急速に働き手が減少する見込みです。歴史的に見ても、日本が同様の状況でデフレ経済に苦しんだ経緯があり、韓国も同じ道をたどる可能性が高いと指摘しています。
特に注目すべきは、韓国が抱える自殺率の高さです。OECDの中で最も高い自殺率は、社会的なストレスやプレッシャーを反映していると言えるでしょう。鈴置氏は、この現象が「社会は生きるに値しない」という無意識の判断を示しているのではないかと考えています。
鈴置氏は、韓国社会の問題の根源にあるのは「肥大化した自己イメージ」にあると述べます。韓国は豊かさを求めるあまり、実際の問題から目を逸らしてきた側面があります。大統領が代わるたびに逮捕者や死者が出るという民主主義の未成熟は、国民にとっての大きな懸念材料です。また、米中二股外交で「いいとこ取り」を狙った外交姿勢も、長期的には安定を欠く要因となるでしょう。
韓国の未来は、決して楽観視できるものではありません。著者は、こうした状況にある韓国が今後混迷期に突入する可能性を警告しています。これまで見えなかった真実と向き合わなければ、韓国社会はさらに深刻な状況に陥る恐れがあります。
鈴置高史氏の厳しい現状分析は、読者に考えさせる要素が詰まっています。韓国に興味を持つ人々だけでなく、国際情勢に対する理解を深めたい人にも貴重な情報を提供してくれる一冊です。ぜひ、手にとってご一読ください。なお、著書は2023年9月19日に新潮社より発売され、価格は968円(税込)となっています。
鈴置高史氏は、1954年に愛知県で生まれ、早稲田大学を卒業後、日本経済新聞社に入社しました。彼はソウル特派員や香港特派員としての経験を経て、経済解説部長を務めた後に退社。著書としては『米韓同盟消滅』や『韓国民主政治の自壊』があり、韓国の現状を独自の視点から分析し続けています。