ブルネル賞2025での受賞報告
2025年9月24日、ロンドンで開催されたブルネル賞2025授賞式において、九州の鉄道関連プロジェクトが大きく評価されました。2014年以来11年ぶりの開催となった今回のコンペティションでは、世界中から120点を超える応募があり、その中から厳しい審査を経て21のプロジェクトが優秀賞、19のプロジェクトが奨励賞を受賞しました。この栄えある賞に、九州より「819系(DENCHA)」と「長崎駅」が選ばれ、また、奨励賞には「嬉野温泉駅」と「36ぷらす3」が輝きました。
優秀賞を受賞した819系DENCHA
「819系DENCHA」は、JR九州が応募した次世代型電車で、人と地球に優しい設計が注目されました。この電車は、蓄電池によって電力を供給し、架線の無い非電化区間でも走行することが可能です。そのデザインは地球をイメージした青色の配色が施されており、電池をモチーフにしたロゴマークが特徴的です。さらに、客室内では木材とモダンなファブリックの融合が見られ、伝統工芸である組子をデザインに取り入れた仕切り壁が設けられ、温もりのある空間を演出しています。
長崎駅の特徴と魅力
長崎駅は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR九州の連名で応募され、これが世界にも稀な特異な駅舎として評価されました。新幹線と在来線が同時に利用できるスタイルは日本で唯一の「頭端駅」であり、海に開かれた駅の魅力を持ち合わせています。在来線の長崎駅では、地元の工芸品である波佐見焼陶板やハルデスレンガ風のタイルが使用され、駅全体が「長崎らしさ」を表現する仕掛けとなっています。
プラットフォームの屋根の流れるような形状は、海や帆を意識しており、膜屋根の採用によって明るさを保たれています。この膜屋根は駅周辺の夜景にも寄与し、「世界新三大夜景」と称される美しい景色を生み出しています。長崎駅のデザインは、専門家の協力を得た検討会議の成果であり、地域の特色を反映した計画に基づいています。
奨励賞の受賞
奨励賞を受賞した「嬉野温泉駅」では、和のデザインが施され、歴史ある温泉宿の雰囲気を大切にしています。横格子が温泉宿らしさを強調し、さまざまな陰影のある材料が使われ、深みのある表情を表現しています。また、「36ぷらす3」は、洗練された黒と金の外観で、宇宙のような客室空間や、復活したビュッフェが特徴です。この列車は、地域の素材を使用した内装が施され、九州の魅力を満載した「走る九州」として多くの人に楽しんでもらえるでしょう。
ブルネル賞についての概要
ブルネル賞は、1985年に設立され、鉄道デザインに特化した国際的なコンペティションです。賞の名はイギリスの技師、イザムバード・キングダム・ブルネルに由来し、駅舎、工業製品、技術インフラ、車両のデザインを優れたものとして表彰しています。各カテゴリーにおける優秀賞や奨励賞は、そのデザインの卓越性だけでなく、全体的なデザインへの姿勢も評価されます。
このように、九州からのこれらのプロジェクトは、地域の誇りを感じさせる成果であり、今後のさらなる発展が期待されます。地域の特色や文化が生きたデザインが、これからの鉄道産業に新たな風を吹き込むことでしょう。