大阪大学が実現した高変換率のバイオメタノール合成法
大阪大学先導的学際研究機構の大久保敬教授を中心とする研究チームが、大和ハウス工業と協力して新たなバイオメタノール合成法を発表しました。この新しい手法は、常温・常圧下でバイオガスから優れた変換率を持つメタノールを生成する素晴らしい技術です。
背景
近年、化石燃料の消費による温室効果ガスの増加が、地球温暖化や気候変動の引き金となっており、これに対処するためのカーボンニュートラルへのステップが急務となっています。そのため、各国では再生可能エネルギーの利用促進に向けた取り組みが進行中です。特にメタンに関しては、その地球温暖化係数が二酸化炭素の25倍であるため、削減だけでなく有効利用が求められています。
2017年には、大久保教授のチームがメタンガスからメタノールを常温・常圧で合成する技術を開発しましたが、その変換率は14%でした。今回新たに開発された技術では、この変換率が89%に向上しました。
技術の概要
バイオガスからのメタンを利用した新しい合成法では、反応溶媒としてパーフルオロアルケニルエーテルを使用し、光照射の条件を改良することにより、メタノールの生成効率を飛躍的に向上させました。これにより、温室効果ガスの削減を目指す燃料としての応用が期待されています。
また、従来の化石燃料や高圧・高温での合成法ではなく、再生可能な生物資源を利用することで、原材料の脱炭素化を図っています。
今後の展望
今後は、大和ハウス工業との共同研究を進め、さらなる効率化と安定した製造プロセスの確立を目指します。また、バイオメタノールの利用促進に向けて、大和ハウスの施設での導入や他のカーボンニュートラル技術との統合を計画しています。
メタノールは、世界市場で9,900万トンの規模を持ち、2029年には1億2,000万トンに達すると予測されています。国内ではほとんどが輸入に頼っているため、国産化の重要性が高まっています。このような背景の中、大久保教授らの新しい合成法が、持続可能でグリーンな未来を築く手助けとなることでしょう。
まとめ
この研究は、持続可能なエネルギーの未来へ向けた歩みとなるものであり、化石燃料からの脱却や温室効果ガス削減のための新たな武器を提供します。今後も、大阪大学と大和ハウス工業の連携により、さらなる進展が期待されます。