愛媛県西宇和郡の伊方町で、地元の高校生がカフェ営業に挑戦する新たなプロジェクトが動き出しました。
このイベントは、佐田岬灯台に関連する人材育成プログラムの一環として開催されたもので、「三崎高校生×せんたん珈琲」と銘打たれたモニター営業が行われました。2024年9月21日の午後3時から夜8時まで、ムーンビーチ井野浦キャンプ場で開催され、愛媛県立三崎高等学校の生徒15名が参加しました。また、絶景カフェの専門家である有限会社アルテフィーチェの戸田英清氏の指導を受けることも出来ました。
生徒たちは、7月のワークショップに参加し、戸田氏から「灯台カフェ」の運営に必要なノウハウを学ぶことからスタートしました。カフェ班は、コーヒーを美味しく提供するための技術を学び、販促班は屋号やロゴを考えるワークに取り組みました。彼らが選んだ屋号は「せんたん珈琲」。この名称は、佐田岬の先端を象徴し、新たな挑戦の意義も込められています。「せんたん珈琲」のロゴには、シンボルとなる佐田岬灯台を中心に、水産物や柑橘類があしらわれ、地元の魅力が詰まったデザインとなっています。
モニター営業で提供されたメニューは、ホットコーヒー、アイスコーヒー、みかんジュース、しおかぜクッキー(佐田岬半島の海水から精製した塩を使用)、エメラルドパフェの5種類です。生徒たちは再度、コーヒーの淹れ方を確認し、アイスコーヒーにも挑戦しました。ハンドドリップで淹れる一杯一杯へのこだわりが感じられ、コーヒーの香りが漂う居心地の良い空間が生まれました。
約5時間にわたって行われた営業では、予想を大きく上回る売上を記録しました。ホットコーヒー16杯、アイスコーヒー49杯、みかんジュース15杯、しおかぜクッキー120袋、エメラルドパフェ50杯の販売に成功。特に、クッキーの人気が高く、地域の特色を生かした商品展開に手ごたえを感じたようです。しかし、注文の管理や提供までの待ち時間など、オペレーション面での課題も浮き彫りになりました。これらの問題点を次回の本番営業(11月4日)までに改善し、地域の魅力をより発信できるよう努力する意向が示されています。
佐田岬灯台についても触れておきましょう。この灯台は四国最西端に位置し、1918年から海の安全を守ってきました。2016年には「恋する灯台」に認定され、2017年には国登録有形文化財に登録されるなど、地域の歴史と文化の一部として親しまれています。特に「エメラルドタイム」と呼ばれる、日没後に灯台が緑色に光る現象が観光名所として知られています。
このプロジェクトは、日本財団「海と日本プロジェクト」の一環として進められており、地域に新たな海洋体験を提供しています。次世代へと灯台の魅力を伝えるべく、生徒たちの挑戦は続きます。