山形大学が「iDonate」に参加、研究支援の新たな形へ
国立大学法人山形大学が、全国で2例目となる国立大学として研究者応援寄付サイト「iDonate」に参画しました。この取り組みは、地方大学の研究環境を支える新しい手段として大いに注目が集まっています。
研究費問題と新たな支援の必要性
近年、基礎研究分野の研究費が大幅に縮小する中、特に地方の国立大学はその運営が難しくなっています。山形大学理学部の並河英紀教授は、自己組織化という基礎研究を行う中で、「研究費が10分の1に減少した」という苦境に直面しながらも、挑戦を続けています。教授は、「良い研究環境が未来の研究者を育てる。だが、その環境は今、地方の大学から失われつつある」と危機感を抱いています。
このような背景から、研究者と支援者を直接つなぐプラットフォームとして「iDonate」が重要な役割を果たすことが期待されています。
「iDonate」の特長と山形大学の意義
「iDonate」は、寄付者が特定の研究者に対して直接寄付を行うことができるプラットフォームです。従来の大学への寄付とは異なり、研究者の理念や専門性に共感を持つ支援者が、それに応じた支援を行える点が特長です。
山形大学からは、ノーベル賞につながる可能性を秘めた自己組織化の研究を進める並河教授や、健康と持続可能性に焦点を当てた田村康教授のような、社会的に意義のある研究者がこのプラットフォームに参画しています。さらに、「山形の子どもたちに最先端の体験を」というプロジェクトでは、最先端の機器を地域の小中高校生に提供する教育活動も推進されています。
新たな寄付文化の形成
国立大学としての参画は全国で2例目であり、山形大学の取り組みにより地方大学の学術研究に新たな支援の道が開かれました。これまでに182名の支援者から40人の研究者に対し、累計1,211万9,800円の寄付が集まりました。
日本の学術研究において、欧米と比較して寄付文化はまだ十分に浸透していないものの、「iDonate」のようなプラットフォームの登場により、個人が気軽に研究を支援できる環境が整いつつあります。支援者は、研究者のビジョンに共感しやすく、寄付後もより深い関係を築くことができるでしょう。
地方大学への期待
秋田大学など他の大学も「iDonate」に続々と参加しており、地域に根ざした研究活動がより注目されることが期待されています。地方の大学が持つ独自の研究分野や、基礎研究の重要性が再評価されることで、地域の科学技術も発展していくことでしょう。
「iDonate」の概要
「iDonate」は、研究者への直接寄付を可能にするプラットフォームです。研究者は登録料金を支払い、自分の研究を寄付者と直接つなげることができます。現時点で112人の研究者が登録しており、累計1,211万9,800円の寄付が182回行われています。この寄付は研究者を通じて大学に届き、研究費用として活用されます。
試みが成功を収め、さらなる支援の流れを生むことが期待される中で、山形大学の参加はその先駆けとなるでしょう。
まとめ
山形大学の「iDonate」への参画により、地方大学の研究の新たな支援文化が形成されつつあります。これが未来の研究環境を改善し、日本全体の科学技術の発展につながることが期待されています。詳細については、
公式サイトをご覧ください。
(一般社団法人全国学術情報分析支援機構(iSess)の所在地は東京都港区赤坂4丁目2番地で、代表者は池田虎三氏です。)