国産広葉樹ワイン樽
2023-11-01 08:30:01
国産広葉樹を活かしたワイン樽づくりと持続可能性の追求
国産広葉樹を活かしたワイン樽づくりと持続可能性の追求
日本のワイン産業において、樽は非常に重要な存在ですが、その多くが輸入に依存しています。これは国産のワインの風味を十分に引き出すことが難しいという課題がありました。そこで、木材コーディネーターである鈴木直子氏は、国産の広葉樹を利用してワイン樽を作るプロジェクトを立ち上げました。
鈴木氏は「未来の子どもたちに豊かな森を残したい」という思いから、10年以上前にこのアイデアに取り組み始めました。自身が直面した林業の現実を踏まえ、日本の広葉樹を使ってワイン樽が作れないかと、一つ一つの関係を築いてきました。彼女の努力が実を結び、2022年にはオールジャパンワイン「Kuzumaki Story1」が誕生しました。
このプロジェクトの大きな特徴は、製造過程が持続可能な森林資源を活用し、その利益を林業家に還元する仕組みを生み出すことです。おそらく、鈴木氏は他の樽メーカーと差別化される点として、地域の環境を考慮したワイン樽の製造に挑む姿勢を挙げるでしょう。樽の製造は国内唯一の樽メーカーである有明産業が担当し、樽用材の選定や製材は西野製材所が行っています。
特筆すべき点は、樽に使用されるミズナラの特性です。この樹種は、ワイン樽として使うには嬉しくない性質を持つため、その完成までには約7年もの年月がかかったと言います。それでも、この挑戦が新たな価値を生む可能性を秘めているのです。ワイン樽の内側のロースト具合によって異なる香りや味の違いが生じるため、鈴木氏は山梨大学のワイン科学研究センターや森林研究・整備機構と共同研究を行い、データを分析しています。これにより、将来的には多様な樽の製造が行われ、様々なワインが生まれることが期待されています。
また、プロジェクトは多段階的な木材活用(カスケード利用)にも取り組んでいます。残材はワイン購入者へのノベルティとしてブートニエールに使われ、その魅力を広げています。さらに、ワイン醸造時に発生した山葡萄の残渣も利用され、従業員の制服やブートニエール染色にも活用されるなど、徹底して資源の無駄をなくす方法が模索されています。
2023年には、鈴木氏のプロジェクトがグッドデザイン賞の審査で選ばれるほどの評価を受け、「Kuzumaki Story1」は限定300本で販売され、わずか1週間で完売するヒット商品となったのです。これもまた、国産の高品質なワイン樽の需要が高まっていることを示しています。
鈴木氏は、今後も国産材による持続可能な森林の確保を目指し、林業、製材、樽製造、醸造などの関係者とさらなる取り組みを進めていく計画です。彼女の活動は、ただワイン樽を作るだけではなく、地域社会と環境に貢献し、次世代へと豊かな森を受け継ぐためのものであるのです。彼女のビジョンに共感し、多くの人々が関与することを期待しています。日本産の魅力的なワインを楽しみながら、その背後にある持続可能性についても考えてみることができるでしょう。今後の展開が楽しみです。
会社情報
- 会社名
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一般社団法人木和堂
- 住所
- 鎌倉市長谷5丁目5-14
- 電話番号
-
090-2440-9384