漏水事故を未然に防ぐ！岩出市の水道インフラDXの取り組み

漏水事故を未然に防ぐ！

和歌山県岩出市が、先進的な水道インフラのデジタル変革に取り組んでいます。フジテコム株式会社が開発した「リークネッツセルラー LNL-C」は、クラウド型の遠隔漏水監視システムで、全国の自治体に導入が進んでいます。このシステムがもたらすメリットは、単なる漏水の監視にとどまらず、多くの社会問題を解決する力を秘めています。

背景：水道インフラの危機

全国の水道管の約2割が法定耐用年数を超過している現状で、毎年2万件以上の漏水事故が発生しています。これにより市民生活には大きな影響が出ており、災害級の断水や、影響を受けた道路の通行止めなど、自治体の負担は増しています。従来の調査方法では、年に1度の点検が主流で、漏水のリスクをリアルタイムで把握することは難しいのが実情です。そこで、国土交通省が推進する「上下水道DX推進検討会」では、デジタル技術を活用して管路点検の頻度を向上させる必要性が示されています。

画期的な技術：リークネッツセルラー LNL-C

フジテコムが開発した「リークネッツセルラー LNL-C」は、最先端のIoT技術とAIを取り入れたシステムで、漏水の発生を早期に検知することが可能です。高感度なセンサが水道管に設置され、1日2時間のモニタリングを行い、微小な漏水すらも検出します。そして、もし漏水が検知されると、クラウドサーバー上の独自AIにより即座に判断が下され、スマートフォンやパソコンへ通知が送られる仕組みになっています。このリアルタイムでの通報によって、迅速な対応が可能となり、大規模な事故につながるリスクを大きく減少させています。

LNL-Cの特長

- 高精度な微小漏水検知: 高感度センサが微細な漏水を捉え、最大300m離れた漏水も検知する実績があります。
- 高頻度なモニタリング: 年に1度の点検から、毎日1回の点検が可能になり、突発的な現場対応を減少させます。
- リアルタイム通知: 漏水の判定が下されると即座に通知され、迅速な行動が取れるようになります。
- ハイブリッド漏水判定: 安定した高精度の漏水判定を実現する独自のアルゴリズムを採用しています。

岩出市での実績

和歌山県岩出市では、すでに「リークネッツセルラー LNL-C」が導入され、顕著な成果を上げています。上下水道局は、「令和4年には送水管漏水の影響で住民への謝罪や復旧対応に苦労した」と語り、81箇所に設置したこのシステムによって、8件の微小漏水を事前に検知し、事故を未然に防ぐことができました。これにより、年1回の点検が毎日の点検に切り替わり、大規模な漏水リスクが大幅に減少し、効率的な維持管理が実現しました。

社会的意義と未来展望

「リークネッツセルラー LNL-C」は、漏水事故の防止にとどまらず、日本の水道インフラ全体で社会的損失を回避する力を持っています。さらに、老朽化した管路の早期発見・修繕を行うことで、将来的な管路更新コストを最適化し、安定した水供給体制の実現に寄与します。

このシステムは既に全国83の自治体で導入されており、フジテコムは令和8年度末までに全国200自治体への普及を目指しています。水道事業を支える老朽管対策や維持管理の高度化を通して、安全で安心な水供給を提供する取り組みが続いています。

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