国産SAFサプライチェーン構築への新たな挑戦
日本の持続可能な航空燃料(SAF)市場において、岩谷産業を始めとする6社が協力し、国内唯一の廃食用油を原料としたSAF製造プラントの構築を進めています。この取り組みは、環境への配慮を重視し、廃棄物の資源化を図るものです。ここでは、この新たなSAFサプライチェーンとその背景について詳しく紹介します。
SAFとは何か?
SAF(Sustainable Aviation Fuel)とは、再生可能な資源を使用して製造される持続可能な航空燃料のことで、特に廃食用油から作られる際には、温室効果ガスの削減において大きな可能性を秘めています。廃食用油を100%原料とすることで、従来の航空燃料と比較し、約80%のCO2削減を見込むことができます。
2022年に設立されたSAFFAIRE SKY ENERGYは、コスモエネルギーHD、コスモ石油、日揮HD、レボインターナショナル、岩谷産業、SAFFAIRE SKY ENERGYの6社による共同プロジェクトです。この新会社は、廃食用油の調達からSAF製造、航空会社への供給までの一貫したサプライチェーンを構築することを目指しています。
岩谷産業の役割と個々の取り組み
岩谷産業は、このサプライチェーンの中で、全国のLPガス顧客網を活用して廃食用油の排出元を開拓する役割を担っています。これにより、廃食用油の調達が効率的に行われ、SAFFAIRE SKY ENERGYが堺市に建設中のSAF製造プラントに供給されます。施設は2024年12月に完工し、2025年4月からの供給開始が予定されています。
他社の役割も重要で、コスモ石油はSAFの製造と航空会社への販売を担当し、日揮HDは全体のサプライチェーンの確立を行います。レボインターナショナルは廃食用油の集荷を行い、SAFFAIRE SKY ENERGYがその油を使用してSAFを製造します。
世界的なSAF需要の高まり
EUでは2025年からSAFの供給義務がスタートし、日本でも2030年までに航空燃料の10%をSAFに切り替えるという目標が掲げられています。このような背景から、国産SAFの需要は急増しています。国内総需要が高まる一方で、現在は全体の30%が海外に依存しているため、国内のSAF自給率を高める必要があります。
このサプライチェーンの構築により、廃食用油のリサイクルが促進され、循環型社会の実現に寄与することが期待されています。さらに、SAF製造においては、国際的な持続可能性認証を受けた商品を供給することで、世界的な基準に適合した製品の提供も行います。
まとめ
岩谷産業による廃食用油調達の取り組みや、SAFFAIRE SKY ENERGYが目指すSAF製造の実現は、国産のSAFサプライチェーン構築において重要なステップです。これにより、日本の航空業界がより持続可能な方向へ進むと同時に、環境負荷の軽減にも寄与することが期待されます。今後のSAFの製造・供給の進展に注目が集まることでしょう。