伊方原子力発電所向け乾式キャスク納入完了
三菱重工業が四国電力株式会社から受注した、伊方原子力発電所向けのダイレクトキャスクの製造が完了しました。初回の出荷分として2基が納入され、発電所における使用済燃料の管理体制が一段と強化されることとなります。
乾式キャスクとは?
乾式キャスクは、使用済燃料を安全に輸送し、貯蔵するための特別な容器です。今回納入されたキャスクは、直径2.6メートル、高さ5.2メートル、重さ約120トンの大型で、伊方原子力発電所の1号機と2号機から発生する使用済燃料32体を収納することができます。
高い安全性と信頼性
三菱重工業の乾式キャスクは、実際のスケールで行われた9メートルの傾斜落下試験など、高度な安全性実証試験に基づいて設計されており、使用済燃料を一定期間貯蔵した後でも安全に輸送できる性能を備えています。このキャスクは、閉じ込め機能、臨界防止機能、遮蔽機能、除熱機能の4つの安全機能を60年間維持することが求められます。
自動化された製造プロセス
更に、三菱重工業は原子力機器の製造における技術を活かし、乾式キャスクの製造や検査工程を高度に自動化した専用工場を整備しました。このプロセスにより、短納期で経済的かつ高品質な乾式キャスクの供給が可能となります。現在、四国電力からは全15基の乾式キャスクを受注しており、納入が続いています。
エネルギーの未来
カーボンニュートラルやエネルギーセキュリティの重要性が高まる中、原子力の活用が進んでいます。三菱重工業は、原子力発電プラントのメーカーとして、これまで培った高度な技術を通じて、原子力の安全性向上を追求していく方針です。
まとめ
伊方原子力発電所への乾式キャスクの納入は、使用済燃料の管理体制をより強化し、安全な運用を支える重要なステップとなります。今後も三菱重工業は、安全で安定した原子力発電所の運用に寄与するため、さらなる取り組みを続けていくことでしょう。