スーダンでの人道危機と国際社会の対応
スーダンは2023年4月に始まった紛争が3年目に突入し、世界最大の人道危機として知られています。この状況下では、国際連合児童基金(ユニセフ)が深刻な支援不足を指摘し、特に子どもたちの状況を改善するための緊急行動を呼びかけています。
ユニセフによると、スーダンで人道支援を要する子どもの数は2023年の780万人から現在では1,500万人を超え、その数は年々増加の一途をたどっています。このような状況は、暴力、飢餓、疾病などが影響を及ぼしています。また、避難生活を強いられた人たちに対する支援の資金提供も減少しており、特に雨季を控えている状況は危機感を増しています。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は、「スーダン全土で何百万もの子どもたちの生活が打ち砕かれ、雨季を前にした今が支援の手を差し伸べる重要な機会である」と述べています。雨季は、栄養不良や疾病の蔓延を引き起こす要因となるため、今後の対応が非常に重要です。
スーダン内外での避難者数は驚異的な数字に達しており、約1,500万人が家を失い、その半数以上が子どもです。特に5歳未満の子どもたちが多く、この状況は深刻な結果をもたらしています。故郷に戻ることができた地域でも不発弾の危険が伴い、不可欠なサービスにアクセスすることができません。
異常な権利侵害の増加
この2年間で、子どもたちに対する重大な権利侵害の件数は驚異的に増加しています。これまでダルフールや南コルドファンに限定されていた問題がスーダン全土で発生しており、殺傷や誘拐、病院への攻撃が日常的になっています。この状況は、特にハルツームやジャジーラなどの地域で深刻化しています。
飢餓の危機に直面している地域も多く、少なくとも5つの地域ではすでに飢きんが確認され、7つの地域は洪水のリスクを抱えています。2022年から2024年にかけて、急性の栄養不良の入院率は特に雨季に集中しているため、今年の雨季では最大で46万人の子どもが栄養不良になると予想されています。さらに、コレラやデング熱の集団感染も増加する見込みで、母親や子どもが多くの影響を受けています。
国際社会への要請とユニセフの努力
ユニセフの支援活動は、多くの困難に直面しながらも続けられていますが、現状は非常に厳しいものです。活動資金は極度に不足しており、命を守るために必要な保健、栄養、教育の支援が停止の危機に瀕しています。2025年のスーダンでの人道支援活動には、10億米ドルが必要とされていますが、これまでに調達されたのはわずか2億6,660万米ドルです。
「子どもたちを見捨てるわけにはいきません。必要なのは国際社会の持続的な支援と、子どもたちのための優先的な行動です」とラッセル事務局長は強調しています。ユニセフは、300万人以上の子どもと保護者に対して心理社会的支援や安全な飲料水を提供し、栄養不良の検査を行っています。特に、紛争地域での命を守る支援が最優先されています。
今後もスーダンの状況を注視し、国際社会がどのような支援を行っていくのかが重要となるでしょう。戦争の終結が必要不可欠です。これがスーダンの子どもたちに希望をもたらす唯一の道です。