新たな風を感じる「高校生Ring AWARD 2024」
2025年2月15日、都内で行われた「高校生Ring AWARD 2024」最終審査会には、全国164校から3万2,244人の高校生たちが参加し、自ら考案したビジネスプランを発表しました。このイベントは、リクルートが提供するアントレプレナーシップを学ぶ機会である「高校生Ring」の一環として開催されたもので、将来の起業家やリーダーを育成するための特別なプログラムです。
グランプリを受賞したのは
グランプリに輝いたのは、長野県の佐久長聖高等学校が提案した天気予報アプリ「one's weather」でした。このアプリは、ユーザーが自身の年齢や体質などの情報を入力することで、個人に適した天気予報を提供することを目的としています。発表者は「16度」という気温に対する自らの印象を問いかけ、プレゼンテーションをスタートしました。
「one's weather」の発案の背景には、以下のような経験がありました。
- - 「今日は暖かいだろうと思い上着を持たずに出かけたが、寒い思いをした」
- - 「片頭痛を引き起こす気圧の変化が分からず、急に発作が襲った」
- - 「花粉症の症状を引き起こす条件が分からず、薬の調整が難しかった」
これらの経験が、ユーザーの個々の感じ方を反映した天気予報アプリの必要性を感じさせました。アプリ内では、片頭痛や花粉症の情報を提供し、「あなた温度」を表示することで、適切な服装の提案なども行います。アプリの収益化モデルとしては、課金やクリック報酬広告が考えられています。プレゼンテーションの最後には「私たちのアプリが日常の小さな悩みを解決する手助けになることを期待しています」と結びました。
審査員の高評価
審査員は、「one's weather」のアイデアに対し、「日常生活の中での根本的な課題に正面から取り組んでいる」と高く評価しました。従来の天気アプリが予報の精度向上に注力する一方で、このアプリは「いかにその天気を自分が感じるか」に重点を置いている点が新しいとされました。社会のニーズに見事にマッチしたアイデアが実現可能な形で提示されたことが、この研究の価値を際立たせました。
準グランプリの発表とその意義
準グランプリに選ばれたのは、山口県立周防大島高等学校による「HAZAKURA」というアプリの提案です。このアプリはAIを活用して、発達障がいを持つ人々の日常生活をサポートするものです。自身もADHDを持つ発表者が「自身の感情を言葉にするのが苦手であった」という経験を元にしたサービスで、データを蓄積しつつ周囲の人々の理解を深めることを目指しています。サービス名の「HAZAKURA」は、「助ける」という意味が込められています。彼の思いは、「利用者に自信を持って毎日を過ごしてほしい」というものであり、AIが手助けとなることが期待されています。
アントレプレナーシップ教育の重要性
販促領域プロダクトマネジメント室(まなび)Vice President 池田脩太郎は、アントレプレナーシップの重要性について言及しました。「高校生Ring」は、単にビジネスプランを評価する場ではなく、高校生が自身の身近な課題に向き合い、解決策を見つける力を養う場であるとし、これが将来の教育格差を解消する一助となることを期待する意向を示しました。
「高校生Ring」プログラムは、学生たちが自らの経験を元にビジネスの考えを発展させ、新たな可能性を探るきっかけを提供しています。これからもこのような活動が広がることで、アントレプレナーシップの考え方が日本全体に広がっていくことが期待されています。