日本化薬のドローン安全装置「PARASAFE」
日本化薬株式会社は、ドローンの運用をより安全にするための新しい技術、ドローン用安全装置「PARASAFE」を開発しました。このシステムは、緊急時にドローンを安全に着陸させるためのパラシュートシステムです。特に、PixhawkシリーズやCubePilotを含むArduPilot環境でのフライトコントローラーとの連携が可能となったことが大きな注目を浴びています。
PARASAFEとArduPilotの連携概要
PARASAFEは、緊急事態におけるドローンの安全な降下を実現します。強化された安全性と信頼性を持ち、これまで以上に多くの産業用ドローンオペレーターによって利用されることが期待されます。
連携の特徴
1.
シームレスな統合
PARASAFEは、ArduPilot環境で設定されたParachuteコマンドを利用し、機体の運用シーンに応じた作動設定が可能です。これにより、PixhawkやCubePilotなど、ArduPilotでサポートされているフライトコントローラーや地上管制局から手軽に利用できます。
2.
自動と手動の展開機能
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自動トリガー
フライトコントローラーは、機体の姿勢や降下速度を判定し、異常を検知するとすべてのプロペラを停止。続いてパラシュートへPWM信号を出力します。これを受けたPARASAFEは瞬時にパラシュートを射出し、開傘します。
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手動トリガー
ドローンの送信機に設けられたスイッチ、または地上管制局からのコマンドで手動でパラシュートを起動できます。すぐにプロペラが停止し、パラシュートが展開されます。
実際のデモンストレーション
2024年10月、石川県加賀市で開催された「ArduPilot Developers Conference 2024」では、PARASAFEを搭載したドローンによるデモが行われました。Aero Systems West社のILM Quadcopterに搭載されたPARASAFEが、マニュアルトリガーで正常に作動し、無傷で着陸しました。このデモは、世界中のドローン開発者から注目を集め、PARASAFEの技術がいかに進化しているかを示す良い機会となりました。
PARASAFEの市場導入
PARASAFEは最大25kgの離陸総重量に適応した「PS CA12-01」モデルがすでに市場に出ており、それによりさまざまな産業用途での利用が進むことが期待されます。この技術は、日本化薬が自動車用安全部品の分野から得た品質と技術力を背景にしています。エアバッグやシートベルトのガス発生装置に使用されている火工品技術を応用し、ドローンの安全性を大きく向上させることが可能となりました。
日本化薬の歴史と今後
日本化薬は1916年に設立されて以来、火薬、染料、医薬、樹脂などの分野で著しい技術革新を遂げてきました。これからも時代のニーズに応じた新しい製品やサービスを創出し、生命と健康を守る最良の技術を提供し続けることでしょう。
今後のドローン技術において、PARASAFEの導入が進むことを期待し、その成果を見るのが待ち遠しいです。