中小企業経理担当者が抱える悩みとスキル向上の実態調査
株式会社ミロク情報サービス(MJS)のシンクタンク「MJS税経システム研究所」は、全国の中小企業における経理担当者362名を対象に実施した、「中小企業の経理担当者の働き方&実務の困りごと実態調査」の後編を発表しました。今回の調査は、経理業務の中で日常的に抱える課題や、スキル向上に向けた取り組みについて明らかにすることを目的としています。
調査の背景
中小企業や小規模事業者では、経理業務を1人または少人数で行うことが一般的です。そのため、担当者は業務の属人化や煩雑さが課題として指摘されることが多く、他社の状況を知りたいという声が寄せられています。このような実情を踏まえ、トラフィックエイジア代表取締役の外波達也氏の監修のもと、経理担当者のリアルな声を集めるアンケートが実施されました。
調査結果の概要
調査は2024年6月1日から6月30日の間に行われ、有効回答数は362件です。結果によれば、経理担当者が感じる主な悩みは以下の通りです。
- - 業務の属人化:50.0%
- - 業務の煩雑さ:43.1%
- - 業務量の多さ:32.0%
特に、業務の属人化は多くの経理担当者に共通する問題であり、人手不足やマニュアル不足が関係しています。この課題に対処するためには、情報共有や業務の標準化、研修の実施が有効だと考えられます。
スキルアップの実態
スキルアップへ向けての動きも見られます。調査によれば、経理担当者の37.0%が自己負担でスキル向上のための費用を出しており、50.6%が業務時間外を利用して学びの時間を確保しています。これは、自身のスキルとしての向上を目指す意欲を強く示しています。
また、情報収集の手段として、77.3%が「インターネット検索」を利用し、56.4%が「顧問税理士や公認会計士に問い合わせる」ことを挙げています。税理士との良好な関係を築くためにも、適切に質問する力が求められています。
今後の取り組み
今後身に付けたい業務スキルとして、一番多く選ばれたのは「経営分析」で30.1%、次いで「中長期計画」で23.2%という結果が出ています。経理担当者たちは、日常業務を越えた広い視野で経営に貢献する業務に取り組みたいという意欲を持っていることがわかります。また、税法知識を重要視する意見も46.1%あり、経理業務において税務の理解が必要とされている現状が伺えます。
まとめ
この調査結果から、中小企業の経理担当者は、業務の属人化や煩雑さという共通の課題を抱えつつも、スキルアップへの意欲や経営への当事者意識を強く持っていることが明らかになりました。今後の業務改善やスキル向上に向けた具体的な行動が求められる時代となっています。経理担当者が志向する理想の働き方とその実現に向けて、さまざまな支援やサービスが求められています。