母乳成分と悪玉菌
2025-03-31 11:26:44

母乳由来のオリゴ糖が悪玉菌抑制に寄与する新たな研究結果

乳児と腸内環境:



森永乳業が京都大学との共同研究を通じて、母乳に多く含まれるヒトミルク由来オリゴ糖(HMO)が悪玉菌の一種、ウェルシュ菌の増殖を抑える可能性を明らかにしました。この研究は2025年の春に科学雑誌『Gut Microbes』に発表される予定です。

研究背景



近年、母乳には多様な健康効果が期待できる成分が含まれていることが注目されています。特に、HMOは腸内善玉菌の増殖を促進するとされており、ビフィズス菌が代表的な善玉菌として知られています。しかし、HMOを利用して増殖する悪玉菌が存在することも判明しています。ウェルシュ菌はその一つで、乳幼児の腸内で優勢化することが健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。

研究の目的



本研究では、HMOを利用する悪玉菌の同定と、それに対してビフィズス菌がどのように抑制的に働くのかを探求することが目的です。特に、ウェルシュ菌が產生する毒素が問題視されています。この研究が、腸内環境をより良好に保つための手がかりとなることが期待されています。

研究内容と結果



ウェルシュ菌の特性



実験によって、ウェルシュ菌が2'-フコシルラクトース(2'-FL)というHMO成分を唯一の炭素源として利用できることが判明しました。この結果、ウェルシュ菌は2'-FLを分解しながら増殖することができることがわかりました。これは、特定の腸内環境にあたるとウェルシュ菌が優位に立つ恐れを示唆しています。

ビフィズス菌による抑制実験



さらに、様々なビフィズス菌とウェルシュ菌を同時に培養した結果、一部のビフィズス菌がウェルシュ菌の増殖を強く抑制することが確認されました。具体的には、B. longum MCC10007が最も強く菌数を減少させ、B. breve MCC1851(M-16V)がビフィズス菌とウェルシュ菌間の比率を高めることが分かりました。

抑制メカニズムの解明



ビフィズス菌との共培養により、ウェルシュ菌の毒素産生関連遺伝子の発現が低下することが確認されました。また、ビフィズス菌が生成する有機酸や代謝物が周囲のpHを調整することで、結果的にウェルシュ菌の活動を抑制する可能性が示されています。これにより、腸内の菌叢バランスが改善されることが期待されます。

まとめ



本研究結果から、2'-FLなどのヒトミルク由来オリゴ糖が腸内環境に与える影響が明らかになり、ビフィズス菌の重要性が再認識されました。今後は、HMOを摂取する際にはビフィズス菌と組み合わせることで、悪玉菌の増加リスクを低減させることが可能かもしれません。この知見は、腸内環境の改善に向けた新たなアプローチとなるでしょう。森永乳業は引き続き、この研究を通じて腸内健康の向上を目指していきます。


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会社情報

会社名
森永乳業株式会社
住所
東京都港区東新橋1-5-2
電話番号
03-6281-4680

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