令和6年版「TKC社会福祉法人経営指標」の提供開始
2023年11月1日、TKC全国会は令和6年版「TKC社会福祉法人経営指標(S-BAST)」の提供を開始しました。このデータは、2022年度の決算を元に、2,825の社会福祉法人から収集された情報を基に分析されたものです。あらゆる法人の経営成績と財政状態が見える化され、福祉分野の現況を理解するのに役立ちます。
S-BASTとは何か?
「TKC社会福祉法人経営指標(S-BAST)」は、平成15年から発行され、業界内で高く評価されています。この指標の特徴は、TKC会員事務所による毎月の巡回監査を通じて集められた実績データから導かれていることです。これにより、法人における現実的な経営状況を正確に示すことが可能となっています。
令和6年版の主なポイント
令和6年版の指標では、全法人において費用の増加率が収益の増加率を下回り、結果としてサービス活動の増減差額が前年と比べて26.8%改善しました。これは昨年の経営環境の悪化からの回復を示唆する要因として注目されています。
ただし、事業内容別に見ると、特に老人福祉を行っている法人においては、サービス活動の増減差額率が僅か0.2%に留まっており、継続的な課題が残されています。この状況は、各法人の事業戦略や運営方法によって大きな差が出るため、何らかのアプローチが求められることでしょう。
提供対象と活用方法
提供開始は令和6年11月1日で、調査に協力したTKC会員事務所に限られています。会員事務所では、基本分析表や経営分析表を用いて、関与先となる社会福祉法人への経営指導の参考資料として活用が行われます。
- 要約貸借対照表、要約資金収支計算書、要約事業活動計算書
- 統計データを元にした経営に役立つ指標の選定
これにより、法人は自身の経営改善に向けた具体的な対策を考えることができます。
今後への期待
業界全体としては、緩やかな回復基調にあるものの、法人ごとの明暗が分かれている様子が浮き彫りになっています。今後は、健康な運営を行うための戦略的な取り組みが一層必要とされるでしょう。将来的な課題解決のために、新しいビジネスモデルの構築や、効率的な資源活用が求められます。
TKC社会福祉法人経営指標(S-BAST)は、社会福祉法人にとって重要な指標であり、経営改善への足がかりとして期待されています。福祉の現場で働く全ての方々が、この指標を活用し、より良いサービス提供に向けた一歩を踏み出すことを期待しています。