教員の学ぶ機会と生活保障に関するアンケート結果
最近、教員の学びに必要な機会と生活の保障に焦点を当てたアンケート結果が公開されました。このアンケートは「教員の学ぶ機会と生活の保障を求むアクション」が主導し、特定非営利活動法人のSchool Voice Projectが収集および分析を担いました。調査では、教職員がどのように学びの機会を得ているのか、またその際のサポート体制がどのようになっているのかを探りました。
アンケートの実施概要
アンケートの対象は、全国の小学校から高校に勤務する教職員で、調査期間は2025年9月12日から2025年9月30日まで。インターネットを通じて実施され、51件の回答が集まりました。これにより、教育現場における学びの支援制度について具体的なデータが得られました。
教員が利用した制度と学びの場所
回答者が最も利用した制度は「大学院修学休業制度」で、その後に現職教員派遣や教職大学院派遣と続きました。特に、小学校では教職大学院で学んだ人が過半数を占めました。一方、中学校や高等学校では、他の国内大学院での学びが多かったという結果が出ています。
さらに、ちょっと変わった学びの場所としては、国外の語学学校や「Fulbright program (FLTA)」を利用してアメリカで学んでいた教員も存在しました。これらは、教員の学びにおける多様性を示しています。
金銭的サポートの充実度
調査では、教員が学びのために所属校を離れている間の金銭的支援の充実度に関しても大きな差が見られました。特に、派遣制度を利用していた教員は、経済的なサポートを受けている割合が高い一方で、自己啓発等休業制度などではそのサポートが非常に少ないことが浮き彫りになりました。
昇給の実態
所属校に復帰後の給与額の変更については、回答者の45%が「なし」と答えており、多くの自治体で昇給が行われない現実が指摘されています。また、大学院で専修免許を取得しても昇給がないケースが多く、同じ自治体内でも制度の選択によって昇給の有無が異なる問題も浮かび上がりました。
まとめと今後の課題
この調査結果からは、教員が自ら学ぶための支援制度が地域によって大きく異なることが明らかになりました。大阪府のように、教員が学ぶための副業を原則禁止し、休職中は無給という厳しい状況がある一方で、他の自治体では給与の支給や授業料の補助が行われています。特に制度選択によって生活費の負担が大きく変わる現状は、解決すべき重要な課題です。
教員が安心して学び続けられる制度の整備は教育の質の向上に直結します。国の政策や法令では教員に対し、継続的な学びを促す義務が明記されていますが、そのための制度的・経済的基盤は不十分です。今後は自治体間で成功事例を共有し、制度の見直しを通じて、すべての教員が安心して学ぶことができる環境を整える必要があります。
また、School Voice Projectでは、引き続き現場の声を集め、教員の「研究と修養」を実質的に保障する社会を目指していきます。