全固体電池の革新
2025-01-14 10:26:35

全固体フッ化物イオン電池の革新、室温付近での超イオン伝導体の実現

次世代電池の革新 - 全固体フッ化物イオン電池の開発



概要


カーボンニュートラルを目指し、持続可能な電池技術の重要性が増しています。その中で注目を集めるのが「全固体フッ化物イオン電池(FIB)」です。この新しい蓄電池は、リチウムイオン電池に代わる可能性を秘めており、次世代のエネルギーソリューションとして期待されています。追手門学院大学の高見剛教授と九州大学の多田朋史教授の研究チームは、簡便な化学フッ化を用いて新たな材料の合成に成功し、室温付近でフッ化物イオンの超イオン伝導を実現しました。この研究成果は、2025年1月に英国王立化学会の学術誌「Journal of Materials Chemistry A」に掲載されます。

研究の背景


リチウムイオン電池は広く使用されていますが、そのリチウム資源が限られていることが懸念されています。そこで、リチウムに依存せず高エネルギー密度を持つフッ化物イオン電池が注目されています。特にその中でも、固体電解質を用いる全固体フッ化物イオン電池は、さらに高いエネルギー密度と安全性を提供できる可能性があります。しかし、これまでは動作温度が140°C以上に制限されており、この課題を克服するための研究が進行しています。新たに合成された物質は、室温での動作を可能にするかもしれません。

研究内容と成果


本研究では、低温での化学フッ化により、従来の複雑な構造を持っていた物質から新しいシンプルな構造へと変化を遂げました。この新しい物質は、既存の固体電解質と同等のフッ化物イオンの伝導率が示され、その過程ではTl+の大きな分極率がF-の拡散を助けている可能性があることが発見されました。さらに、ニューラルネットワークを用いたシミュレーションでは、F-が効率よく拡散する様子が確認されました。

未来への期待


この研究は、全固体フッ化物イオン電池の性能向上に重要なインサイトを提供します。新しい材料の特性を踏まえて、より高いエネルギー密度を実現するための戦略が期待されています。今後、フッ化物イオン電池の固体電解質開発が進められることで、さらなる用途の拡大が見込まれます。

まとめ


全固体フッ化物イオン電池は、持続可能なエネルギーを実現するための新たな可能性を秘めた技術です。室温での超イオン伝導体の実現によって、周囲の環境条件への対応能力が向上するでしょう。本研究成果は、電池技術の未来を大きく変化させるかもしれません。今後の展開に目が離せません。


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会社情報

会社名
学校法人追手門学院
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大阪府茨木市西安威2丁目1-15登記上本店:大阪市中央区大手前1丁目3-20
電話番号
072-641-9590

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