地方創生とシルバーサービスに関する月例研究会
2023年2月19日、一般社団法人シルバーサービス振興会の主催で、第321回月例研究会がTKP秋葉原カンファレンスセンターにて開催されました。この会議では、「地方創生の最新動向とシルバーサービスへの期待」というテーマのもと、参加者が高齢者福祉と地域活性化のためのアイデアを深めました。
講師の紹介とテーマ
この日の講師には、内閣府 地方創生推進事務局長の石坂 聡氏を迎え、彼の経験に基づいた貴重な解説と意見が共有されました。石坂氏は旧建設省出身であり、厚労省で介護保険制度に羽ばたく前から活躍してきた人物です。地方創生が急務であると説き、産官学金労一体となった連携の重要性が強調されました。
人口動態の現状
以下の重要なポイントについても議論が交わされました。
- - 近年の人口動態: コロナ禍による影響が多くの地域で感じられ、人口減少や婚姻件数の減少が問題視されています。死亡数は依然として多くないものの、将来的には住む場所が不足するとの警告もありました。
- - 出生率の減少: 1970年代からの長期的な出生率の減少は続いており、2024年には出生数が70万人を切る見込みです。
東京一極集中への懸念
また、東京圏への人口集中も懸念される中、2023年の転入超過数は11.5万人に達しました。防災上のリスクを考慮し、少しでも地方に住む選択肢を増やす必要があるとの見解が示されました。地方での生活の魅力を再発見し、新しい人間関係を構築する場が求められています。
地方創生2.0の提案
新たに策定された「地方創生2.0」では、特にデジタル田園都市国家構想に基づく新しい交付金制度への期待が寄せられました。これは役場のデジタル化を進めるもので、過去10年間の取り組みを参考にした新しい形となります。
高齢者支援の現状
高齢者世帯に関しては、特に単身世帯の増加に合わせた社会構造の変革が必要であると指摘されました。また、介護保険制度が運用を始めた1999年から現在に至るまでの問題も言及され、進めるべき方針や方向性が模索されました。
サ高住の現状と課題
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の必要性も再確認され、日中の常駐スタッフの困難や、必要な見守りシステムが機械で可能であることなどが話されました。将来的には、サ高住そのものが制度の再編の中で見直されるべきとの意見も出されました。
最後に
質疑応答を通じて、参加者からは新たな地方経済・生活環境創生交付金についてのアイデアや、高齢者が安心して住める居住支援のための制度改正に関する意見が寄せられ、活発な議論が展開されました。この月例研究会を通じて、地方創生とシルバーサービスの今後に期待を寄せつつ、さらなる連携の強化が図られることが目指されています。