日本の労働生産性
2024-12-16 11:15:18

日本の主要産業における労働生産性の国際比較2024 ~米国と比較した現状分析~

日本の労働生産性の国際比較2024



2024年版として公表された「産業別労働生産性水準の国際比較」は、日本生産性本部による重要な調査結果を報告しています。このレポートでは、2020年のデータを基に、日本の主要産業がどのような位置にあるのかを、米国やドイツ、フランスなどの先進国と比較しています。特に注目されるのは、日本のサービス産業が21カ国中15位であり、その生産性が米国の場合、約5割に相当するという点です。

調査の背景と目的


日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)は、経済環境の変化や人口減少によって直面している課題を受け、生産性向上に向けた実践活動を進めています。今回の調査は、2020年時点のデータを用い、前回レポートを更新する形で行われ、データの対象国が21カ国に拡大されていることも特筆すべき点です。調査には、国内の経済データやEU-KLEMSデータベースが活用されており、これは国際的な比較を行う上で非常に有効な財源となっています。

日本の産業別労働生産性の現状


2020年の労働生産性を見てみると、日本のサービス産業は米国の49.6%にとどまっていることがわかります。具体的には、化学産業が日本の中で唯一、米国を上回る127.6%の生産性を持っている一方で、卸売・小売業は37.9%、不動産は31.3%、宿泊・飲食サービス業は30.2%と大きく差を開けられています。特に、情報通信業の生産性は22.0%に過ぎず、日本のサービス産業が直面する厳しい現実を反映しています。

さらに日米生産性の格差が、2015年以降も拡大を見せている点も注目です。運輸・郵便業や各種サービス業では、格差が10%ポイント前後の縮小に留まっています。

国際比較の結果


国際的な観点でみると、日本のサービス産業の労働生産性は、日米欧21カ国の中で15位という結果になりました。専門・業務支援サービス業が比較的高い9位にあるものの、卸売・小売業が17位、情報通信業が15位、宿泊・飲食サービス業が同じく14位と低迷しています。この事実は、日本のサービス産業の国際競争力が相当低下していることを示すものです。

今後の展望と課題


これからの日本にとって、人口減少や人手不足が進行する中で、生成AIに代表されるデジタル技術の導入を通じた生産性の向上は極めて重要な課題となっています。物価上昇を上回る賃上げを実現し、持続可能な経済社会を構築するためにも、生産性の向上が求められています。生産性本部は、今後も日本の労働生産性の国際的な位置づけを観察し、政策の立案や施策の実施に寄与することを目指します。

日本生産性本部のホームページからは、報告書の詳細やデータが公開されているので、興味のある方はぜひご覧ください。


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