呼吸器疾患に特化した国立病院機構東京病院の取り組み
国立病院機構東京病院は、1962年に結核療養所の統合により設立されました。この病院は、呼吸器疾患に強みを持ち、地域に寄り添った医療を提供しています。院長の松井弘稔先生にインタビューし、同院の医療体制や地域への情報発信について詳しくお話を伺いました。
病院の概要と強み
当院は、清瀬市に位置し、かつては結核治療を専門にしていました。結核の治療法が確立され、生活水準が向上したことで、その患者数は大幅に減少しましたが、当院は現在も呼吸器疾患の専門医が集まり、高品質な治療を行っています。特に、結核治療後の呼吸リハビリや、肺がん、COPD、気管支喘息などに対する専門的な診療に力を入れています。
呼吸リハビリテーションにおいては、患者が日常生活で感じる「息切れ」を軽減するための指導を行っており、また多様な病気に対応するための診療体制を整えています。
診療体制の充実
2010年には、呼吸器内科と呼吸器外科からなる『呼吸器センター』を設立し、幅広い呼吸器疾患に対応できる体制を整えました。呼吸器センターは、腫瘍、感染症、びまん性肺疾患、COPD、肺循環喀血、アレルギー性肺疾患の6つのグループに分かれており、各領域の専門医が連携し、高度な治療を提供しています。
特に高齢者の患者が増えてきた現在、他の診療科との連携が重要です。外科と連携しながら、肺がん治療に取り組むことで、それぞれの患者に適した治療を行っています。胃がん手術を受ける予定の患者に対しても、呼吸器の病歴を考慮し、消化器センターと協力して手術を行っています。
医療情報の発信と地域への貢献
当院は、地域特集を通じて患者に伝える医療情報の質を高めることに注力しています。メディカルノート(MN)に掲載されている疾患記事は、地域の方々が自身の健康に関する正しい知識を得るきっかけになると考えています。
地域特集では、呼吸器疾患に関する情報や受診のタイミングをわかりやすくまとめ、患者が適切な医療機関を選ぶ手助けを目指しています。患者には症状の早期発見を促すために、受診の必要性を常に意識してもらうことが重要です。
インターネットに頼らない正しい情報発信
最近では、インターネット上に多くの情報があふれ、誤った情報が拡散される事例が見受けられます。そのため、当院では正確な医療情報を提供し、患者が適切な受診判断を行えるようサポートしています。特に結核のような病気では、早期の受診が必要です。2か月以上続く咳症状を見逃さず、医療機関に行くことが大切です。
私たちは、常に患者の健康につながる正しい情報を届ける努力を続けます。患者が医療機関を選ぶ際、信頼できる情報源としてMNを利用してもらい、早期受診につながることを願っています。
今後の展望
今後も、地域の医療機関との連携を強化し、パンフレットなどで当院の情報を広めていきたいと考えています。医療情報発信を通じて、呼吸器疾患に悩む患者さんの助けになりたいというのが私たちの最終的な目標です。地域の人々が正しい医療情報に触れ、必要なときに医療機関を利用できることが、健康な社会の実現につながると信じています。