近年、気候変動や海洋資源の管理が重要な課題となっている中、海洋データの収集はますます求められています。特に、リアルタイムでの海洋環境の監視が漁業の効率化や海洋保全、防災対策に与える影響は無視できません。このような状況において、京セラ株式会社と日東製網株式会社の協業により、新たに開発された「エナジーハーベスト型スマートブイ」は、持続可能な海洋データ収集の新たな選択肢となります。2025年4月より本サービスの有償トライアルが実施されることが発表されました。
このスマートブイは、長崎大学の潮流発電技術と京セラのIoT技術を融合しており、天候に左右されない潮流発電システムを搭載しています。このシステムにより、潮の流れからエネルギーを取り出し、発電・蓄電が可能となるため、長期間にわたり安定したデータ収集を実現しています。具体的には、少ない流速でも稼働できる特長を持ち、海域における電力供給の制約を克服しています。
エナジーハーベスト型スマートブイの特長
1.
潮流発電システム: 小さな潮流でも発電が可能で、長期運用を支えるバッテリーと連携。
2.
通信モジュール・センサー: 内部センサーで温湿度やバッテリー残量、GPS情報などを取得し、外部センサーとの接続が可能で多様な海洋データを収集。
3.
クラウドアプリ: リアルタイムでのデータ監視と異常時の通知が可能なクラウドアプリが提供され、迅速な対応を可能にします。
この新しいブイが活用される背景には、赤潮等の生態系への影響が大きく、苦しむ漁業界への直接的な貢献が期待されています。長崎大学との共同研究では、例えば赤潮の予測など具体的なデータ取得にも利用されることで、実際の漁業や海洋環境保全に寄与することが目指されています。
また、本開発品は「共創の場形成支援プログラム(COI-NEXT)」に採択され、持続可能な海の食料生産を支える取り組みにも利用される予定です。これにより、京セラと日東製網は海洋データの有効活用を進め、新たな社会的課題の解決に貢献します。
本プロジェクトは2025年に東京ビッグサイトで開催される「Offshore Tech Japan 海洋産業技術展2025」に展示される予定です。このイベントでは、業界関係者や一般の来場者に対し、スマートブイの実際の運用効率や技術的優位性をアピールします。
このように「エナジーハーベスト型スマートブイ」は、環境問題や海洋資源の持続的管理に向けた新たな希望の光となり得るでしょう。今後のサービス開始に期待が寄せられています。