世界初の3Dプリンター駅舎が完成
JR紀勢本線の初島駅(和歌山県有田市)にて、世界初の3Dプリンターを利用した駅舎の建設が完了しました。このプロジェクトは、セレンディクス株式会社とJR西日本グループが共同で進めたもので、2023年3月26日に施工が完了しました。新しい駅舎は、2025年7月に供用が開始される予定です。
3Dプリンティング技術の活用
今回の駅舎建設は、セレンディクスが開発した3Dプリンター技術をベースにしています。2022年には初のモデル「serendix10」をわずか23時間で完成させた実績があり、今回の駅舎でもその技術を最大限に活用しました。具体的には、駅舎の部材は熊本県水俣市にある立尾電設株式会社で製造され、特殊モルタルを利用したロボットアームによって出力されました。
駅舎の部材は合計4つのパーツに分けられ、トラックで現地に運ばれました。通常の駅舎建設では、工事は夜間に行われるため、時間がかかるのですが、3Dプリンターを使用することで作業を効率化。最終列車が出発した後の6時間という短期間で、基礎工事を含む全ての躯体工事が完了しました。これは従来の工法に比べて大幅なスピードアップを実現しています。
新駅舎の今後の整備
新しい駅舎は、供用開始に向けて、外構工事や改札機の設置など、さらなる工事が行われる予定です。JR西日本は、駅舎の内装や電気工事も行い、利便性を向上させる取り組みを進めています。セレンディクスは、今回のプロジェクトを通じて鉄道施設への3Dプリンター技術の応用可能性を広げ、今後、他の駅舎や同様の施設への展開を考慮しています。
未来の駅舎に向けて
セレンディクスの共同創業者・COOの飯田國大氏は、「通常の基礎工事は長期間を要しますが、今回の挑戦は生産性向上の一助となるかもしれません」と語ります。駅舎の建設は、観光地としての価値を高めるだけでなく、建設業界の生産性向上にも寄与すると期待されています。
セレンディクスは、今後も3Dプリンターを活用した低コスト・高品質な建設ソリューションの提供を目指して活動していく方針です。これにより、さらなる技術革新を促進し、建設業界の労働力不足解消にも貢献していくことが期待されています。
会社概要
セレンディクス株式会社は、兵庫県西宮市に本社を構え、日本初の3Dプリンター住宅メーカーとして知られています。2018年に創業以来、2022年には3Dプリンター住宅「serendix10」を完成させ、2024年には新たな住宅モデルにも取り組んでいます。今回の駅舎建設を通じて、鉄道インフラへの応用を広げ、さらなる成長が期待されています。