香川県多度津町で進む持続可能な地域交通の取り組み
株式会社パブリックテクノロジーズは、香川県多度津町において、地域交通の最適化を目指した住民参加型プロジェクト「多度津町自分ごと化会議」を実施しました。このプロジェクトは、国土交通省の「共創・MaaS実証プロジェクト」に基づき、無作為に選ばれた35名の町民が参加し、地域の交通課題について議論を重ねるものです。参加者の年齢層は23歳から79歳まで多岐にわたり、幅広い視点からの意見が交わされました。
取り組みの背景
多度津町では、過去に「高齢者福祉タクシー事業」や「チョイ来た事業」といった地域交通サービスを提供していましたが、運転手不足や利用者の固定化といった問題が浮き彫りになっています。さらに、少子高齢化や地域コミュニティの希薄化が進む中で、新たな解決策が必要とされています。これを受けて、パブリックテクノロジーズは一般社団法人構想日本と協働し、住民を巻き込んだプロジェクトを約1年間にわたり実施することを決定しました。
プロジェクトの進行
今回のプロジェクトは2つの段階で進められました。令和5年度には「地域交通コーディネーター育成事業」を通じて、公共交通の運営を担う自治体職員への研修を行いました。令和6年度には住民向けプログラム「多度津町自分ごと化会議」を実施し、地域交通やまちづくりを主体的に考える人材の育成を目指しました。
この際に、形式化された行政主催の会議とは異なり、無作為に選ばれた町民35名が参加し、非公式な形で意見を交換しやすい環境を整えられました。
探求された新たな交通手段
会議では、既存の移動支援サービスの問題点を明確にし、デマンド交通や公共ライドシェアといった新しい交通手段についても検討が行われました。特に、運転免許を返納した後の移動手段や、病気や怪我の際のサポート、子育て世代の負担軽減、さらには外国人の移動支援についての意見が出され、地域交通が単なる移動手段の確保にとどまらない重要なテーマであることが確認されました。
最終回の意義と参加者の反応
2024年10月14日に開催された最終回は、参加者が自らの意見や提案をまとめる重要な場となりました。「自分ごと」として地域交通について考える意識が育まれ、多様なアイデアが提案されました。注目すべき点は、商業施設との連携や、地元の運転士の活用方法など、地域全体で協力し合う姿勢が見られたことです。参加者たちからは、「地域交通に対する関心が高まった」との声が寄せられ、今後の継続的な取り組みを期待する意見も多くありました。
未来への期待
集約された住民の提案は、町長に提出される予定で、具体的な施策として地域交通の改善を進めていく方針です。今後、このプロジェクトを通じて、地域交通における課題だけでなく、コミュニティの希薄化や人材不足といった根本的な問題にも対処していくことが求められます。パブリックテクノロジーズは、「暮らし続けたいまちをつくる」という目標のもと、地域社会の持続可能な発展に貢献していくことを志しています。