株式会社ispace、2026年3月期第2四半期の決算発表
2023年11月14日、東京都中央区に本社を持つ株式会社ispace(証券コード:9348)は、2026年3月期第2四半期の決算を公表しました。この発表は、同社の投資家向け情報サイトで確認でき、関連する資料や動画も順次公開される予定です。
事業の進捗と新規契約
決算発表では、主にミッション3およびミッション4に関連する営業の進捗が強調されました。特にミッション3においては、米国のマグナ・ペトラ社との間で、月面の貴重な資源であるヘリウム3の商業化を目指すための新たな2,200万米ドル(日本円で約32億円)のペイロード契約を締結しました。この契約は、同社の欧州法人が開発する小型月面ローバーに、それを搭載してヘリウム3などの観測を行う質量分析計を輸送する内容です。
この新たな契約により、ミッション3のペイロード契約総額は、前回のQ1決算時の95億円から127億円へと増加しました。また、2028年に打ち上げを予定しているミッション4においては、国立大学法人東京科学大学との「宇宙戦略基金」事業に関する委託契約も締結し、最大47億円の大型受注が予想されます。台湾国家宇宙センター(TASA)が行う月ミッションへの採択も発表され、総額8百万米ドル(約11.7億円)の新たな契約を獲得したことが報告されました。
これによって、ミッション4のペイロード契約総額は58億円に達する見込みです。
経営成績の概要
株式会社ispaceの第2四半期決算における経営成績の要約は以下の通りです。まず、売上高は約2,193百万円で、前年同期と比較して増加しました。これはミッション3の開発進捗に伴うもので、通期業績予想においても概ね計画通りの推移を見せています。
営業損益は4,162百万円の赤字で、研究開発に伴う支出が影響したとされています。特に、ミッション4に関連する支出がやや遅れているものの、全体として業績への影響は軽微とコメントされています。純損益については、当期の赤字は4,463百万円に達し、支払利息等の影響によるものと言われています。
また、研究開発費は前年同期比でほぼ横ばいの約2,279百万円となり、社員数の増加に伴い、給与及び手当も前年同期比21.6%増加の939百万円に達しました。
今後の展望と取り組み
CFOの野﨑順平氏は、宇宙事業が日本の次期成長産業として注目されている現状を受けて、今後の取り組みについて語りました。改善タスクフォースの設置や技術支援の強化、国際的なパートナーシップの拡大に向けた努力が進められています。また、ミッション3およびミッション4の技術体制を強化し、新規ペイロード契約の獲得を通じて、商業月面輸送サービスの基盤を構築していると言います。
ispaceは、月への高頻度かつ低コストな輸送サービスを提供し、宇宙産業のビジネスチャンスを拡大することを目指しています。今後も注目を集める同社のさらなる展開が期待されます。