EY-Parthenonが語る2025年株主提案の新たな動向
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)が展開するEY-Parthenonは、2025年上半期に行われる株主総会における株主提案のトレンドを分析し、現状を示す興味深いデータを発表しました。本分析では、アクティビストおよび株主の視点を考察し、企業が今後の戦略をどう構築するかという点に焦点を当てています。
1. 株主提案の質的変化
近年、アクティビストからの株主提案は「量」のみならず「質」においても重要な変化を見せています。従来、提案の対象となる企業は主にPBR1倍未満のものが中心でしたが、2025年上期にはPBR1倍を超える企業、さらに時価総額が1,000億円以上の企業にまでその範囲が広がっています。この傾向は、企業が資本効率の向上に努めているものの、実際にはキャッシュアロケーションにおいて十分な措置を取っていないことが背景にあると考えられます。
2. アクティビストの策略
アクティビストによる株主提案は、表面的には資本政策や役員の選解任、情報開示を求める色が濃いですが、これは経営戦略に関連する提言を実行するためのものです。特に、事業ポートフォリオの見直しを促すといった意図も含まれているため、企業はただ対応に追われるのではなく、その背景にある戦略的意図を正しく理解する必要があります。
3. ISSによる推奨動向
議決権行使助言会社であるISSは、アクティビストの株主提案に対して賛成を推奨する案件が全体の40%に達しています。中でも、役員の報酬制度に関する提案に対してはおよそ80%が賛成となっており、資本政策に関するものも60%弱というデータが出てきています。これは、提案された内容が企業の長期的な価値向上に寄与する可能性が高いと考えられているからと見ることができるでしょう。
4. 賛成動向の分析
2025年において賛成率が20%以上の株主提案の割合は前年よりやや減少しましたが、情報開示以外の議案では依然として3〜5割の議案がこの高水準を保持しています。特に、資本政策に関連する提案は企業が不活発な場合に賛成率が高く、役員の報酬制度も同様の傾向が見られます。これらは、株主が求める企業行動の本質を示しているとも言えるでしょう。
企業の戦略的対応の必要性
EYSCの分析から、企業が市場からの支持を得るためには「企業価値最大化に向けた新たな戦略が必要」であるとされています。ただPBRを上げるだけではなく、企業価値そのものをどう改善するかが焦点となります。事業ポートフォリオの見直しと共に、長期で成長可能な領域への資源配分が求められています。また、余剰キャッシュについては配当や自社株買いに充てることで株主価値の低下を防ぐことも重要です。
ガバナンスの強化
このような戦略の実施を確実にするために、経営知見を持つ取締役の選任や取締役会の監督機能の強化が欠かせません。さらに、こうした取り組みをエクイティストーリーとして整理し、経済界との対話を通じて企業価値の向上を図ることがますます重要となってきています。
EY-Parthenonの見解
EY-Parthenonストラテジー・アンド・エグゼキューションリーダーパートナーである篠原 学氏は、「東京証券取引所は上場維持基準を厳格化しており、機関投資家と同等の視点で中長期的な企業価値の向上が求められています。資本コストや株価を意識した経営への対応が3年目を迎えていますが、依然として企業とアクティビストの間には価値認識のギャップが存在していることが示されています。したがって、資本市場との対話はますます重要なものとなるでしょう」と述べています。
これらの情報をもとに、企業は株主提案への対応だけでなく、その背景となる市場の変化や企業価値の向上に向けた具体的な施策を講じる必要があるでしょう。具体的な分析や支援に関しては、EYの提供する「戦略的株主エンゲージメント支援サービス」をご覧ください。