弁慶丸の挑戦
2021-06-29 11:12:41
水産業界に希望の光を「弁慶丸」が描く新たな未来
水産業界に希望の光を「弁慶丸」が描く新たな未来
コロナ禍の影響を受け続ける水産業界ですが、その中でも地道に挑戦を続ける企業があります。それが株式会社弁慶丸です。自社直販サイト「弁慶丸」を通じて、漁師が自ら鮮魚を消費者に届ける新たな形態を模索しています。
コロナで直面した4つの困難
水産庁が発表した水産白書によると、コロナウイルスの影響に加えて、燃油高騰や魚価低迷、資源枯渇、そして後継者不足という4つの要因が重なり、漁業に従事する人々が減少傾向にあります。特に、2019年には漁師の数が1万5千人を割り込んでしまいました。そのような中、弁慶丸も所属する漁協では、2003年の合併以降、正組合員数が745名から373名にまで減少してしまいました。
DX化の波に乗る弁慶丸
そんな厳しい状況の中でも、弁慶丸は2007年の設立以来、漁師直送の通販サイト「弁慶丸」を立ち上げ、業界の常識にはみ出すDX化を推進しています。コロナ禍による「おうち需要」にもマッチし、2021年1月から5月の期間で、累計販売数が60562セットに達しました。
特に注目すべきは、主に一人暮らしをしている若い世代からの支持を受けている点です。外食を控える中で、家庭内での魚の需要が高まり、弁慶丸の鮮度の高い魚が選ばれています。その背景には、YouTubeでの捌き方動画が流行し、魚を捌くことに対するハードルが低くなったことも大きいと考えられています。
漁師たちの6次産業化に向けた挑戦
「漁師が魚を売ることができる時代だ」と言う河西信明船長の言葉には、漁業界への強い情熱がこもっています。全国各地から、弁慶丸の取り組みに触発され、6次産業化に挑戦したいと訪れる漁師も増えています。しかし、地元に帰ると、古い商慣習や体質に阻まれることが多く、現実は厳しいものです。
仲買人や漁協の反対に遭い、販売や加工などの新たな取り組みを断念してしまう漁師たちが多いのが現実ですが、「漁業は無限の可能性を持っている」と信じ、仲間と共に歩み続ける河西船長の姿勢が、他の漁師たちにも希望を与えています。
漁業再生のための取材協力
現在、弁慶丸では鮮魚セットの発送作業やスタッフとの打ち合わせの風景、さらには河西船長へのインタビュー、早朝の荷揚げ、出漁の様子など、現場の取材に協力しています。消費者と生産者をつなぐこの取り組みが「日本の漁業の再生」に繋がることを願っています。
おわりに
弁慶丸の挑戦は決して容易なものではありませんが、彼らの情熱と独自のビジョンによって、水産業界に新たな希望が生まれていることは間違いありません。今後の展開にも要注目です。
会社情報
- 会社名
-
株式会社 弁慶丸
- 住所
- 鳥取県鳥取市賀露町北4-31-23
- 電話番号
-
0857-28-8697