地震時の運転規制を強化するJR東日本の新システム導入

JR東日本は、経営ビジョン「勇翔2034」の一環として、鉄道輸送の安全性をさらに高めるための取り組みを進めています。このビジョンでは、自然災害の激甚化に対抗するための高度な安全対策が求められています。具体的には、地震発生時の運転規制における地震検知システムの多重化が進められ、その中で社外の地震計情報を加えることにより、早期の停車を実現することを目指しています。

1. 社外地震計情報の活用

JR東日本グループは、特に大地震が多発すると予想される現状を受け、在来線の運転規制において社外地震計からの情報を活用することで、迅速かつ的確な地震検知が可能になるとしています。この取り組みは、事故や運行の混乱を最小限に抑えるため、事前に設定された基準を超える揺れが観測された際に列車を自動的に休止させるシステムにも密接に関連しています。

2. S-net 地震計情報の導入

特に注目すべきは、2025年9月10日より導入予定の新幹線早期地震検知システムで使用されるS-netの海底地震計情報です。このシステムを在来線の運行に統合することで、従来の地震検知から緊急停止までの時間を最大約20秒も短縮することが見込まれています。つまり、列車が大きな揺れを感じ始める前に、事前に減速し、停車する能力が向上するのです。

3. SUPREMEの導入

さらに、2025年4月からは超高密度リアルタイム地震防災システム「SUPREME」が導入される予定です。このシステムは、東京都内を中心とした地域において、1km²あたり1基以上の地震計を配備するという高密度の体制を整えています。これにより、地震時の揺れをよりきめ細かく把握でき、鉄道の運行判断が従来よりも精度高く行えるようになります。

4. 今後の展望

首都圏の一部では、今後30年間に震度6弱以上の揺れが予想されています。このような状況下で、JR東日本はさらなる安全対策の強化が急務と考えています。SUPREMEからの情報を活用し、沿線で発生する地震の動きをリアルタイムで把握することで、より正確な運行判断ができるよう検討を進める予定です。具体的には、過去の地震データの分析や、緊急停止後の移動可否判断の支援に役立てる技術開発が求められています。