中国における日系物流業の新たな市場動向
リスクモンスター株式会社が発表した最新レポートによると、中国での日系物流業は多くの企業が存在し、その数が着実に増えていることが明らかになりました。2023年3月時点で、日系企業が出資する中国の物流関連会社は合計1,016社に達しており、これは利墨リスモンによる独自調査に基づくものです。また、調査対象として、法人登記されている日本企業出資の企業を使用し、多岐にわたるデータを集計しました。
このレポートでは、特に注目すべき点は、親会社ごとの企業数のランキングです。ランキングの1位には「日本通運」が君臨しており、実に45社の子会社を持っています。続いて「日本郵船」と「伊藤忠ロジスティクス」が34社で同順の2位となり、「山九」が33社で続きます。このことは、日系物流会社が中国でのビジネス展開においてかなりの成功を収めていることを示しています。
さらに、企業別の細分類業種の集計結果から、「複合一貫輸送・運送代理業」が最も多く、466社がこの点に該当します。これは全体の45.9%にあたります。倉庫業が292社、道路運送業が164社と続いており、特に運送代理業が日系企業にとって主要な業務であることが分かります。
市場の成長と地域分布
日系物流業が中国国内で成長を続けている理由の一つは、マクロ経済環境における中国の変化です。1981年から進出を始めた日系企業の数は増加を続け、特に2000年以降はその成長が加速しましたが、2011年を境に成長率が鈍化する傾向が見られます。それでもなお、新たな機会を模索するに足る市場規模は保持されているのが実情です。
地域分布に目を向けると、最も多くの日系企業が「上海」に集中しています。この都市には381社、全体の37.5%が拠点を構えており、「広東省」が134社で続き、「江蘇省」が130社となっています。これにより、全体の約60%がこの3つの地域に集約されていることがわかります。
北京や湖北省以外の企業は、実に東部沿岸地域に多く存在しており、国際物流の動脈としての役割を果たしています。沿岸地域の交通インフラの発展は、日系企業にとってビジネス運営上非常に重要な要素です。
新たなビジネスチャンス
近年では、中国の成長鈍化や人口減少といった社会的背景から、国内の需要がしかしているものの、逆にこの動きは日本企業に新たなビジネスチャンスをもたらすかもしれません。多くの中国企業が海外市場へ進出を加速しており、2023年の中国港湾貨物取扱量は170億トンに達し、前年比で8.2%の増加を記録しました。
特に注目すべきは、出口としての運送の需要が高まっていることです。国外市場への出口を追求する中国企業に対して、日系物流業者は豊富な経験とネットワークを基にした支援が可能です。これにより、日系企業は新たな収益事業を確立し、中国市場でのエンゲージメントをさらに強化することが期待されます。
今後の日中貿易の展望についても、2023年の貿易総額は前年から減少していますが、これは新たな収益源を見つけるチャンスと捉えることもできます。戦術を見直し、中国企業の海外展開を支援することで、双方にとってウィンウィンの関係構築が可能となるでしょう。
まとめ
日系物流業者は、中国において改革開放以来の長い歴史と多くの経験を持っています。これを活かし、企業数の増加、業種の多様化、地域の集約化が進む中で、いかにして新たなビジネスチャンスを見出すかが今後の成長において重要なポイントとなるでしょう。今後の市場動向に注目し、企業の戦略がどのように変化していくのか、また新たな展開が期待されています。