札幌医科大学とTOPPANが医療DXの未来を切り拓く
2025年8月1日、北海道公立大学法人札幌医科大学(札幌医大)とTOPPAN株式会社が、医療分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を目的とした包括連携協定を締結しました。この協定により、医療現場での業務効率化と、サービスの質の向上が期待されています。特に注目されるのは、TOPPANが展開する医療従事者支援サービス「DICTOR®」の共同開発です。
「DICTOR®」とは何か?
「DICTOR®」は、医療行為に関する説明を医師のデジタルクローンによって自動生成する画期的なサービスです。手術や検査など、患者向けの説明動画を簡単なテキスト入力から生成できるため、医療従事者は煩雑な説明業務から解放されます。デジタルクローンは医師自身の声と顔を使用し、まるで本人が説明しているかのようなリアルな動画を提供します。
協定締結の背景
2024年4月から、医師に対する時間外労働の上限規制が施行されることが決定されています。この法律の施行に伴い、医療従事者の負担軽減が求められる中、業務の分担が重要視されています。特に、患者への情報提供は新たな課題として浮かび上がってきました。従来の方法ではコストと時間がかかり、患者ごとのニーズに対応するのが難しいという現状があります。
TOPPANはこのニーズに応え、医療機関向けに「DICTOR®」の提供を2024年7月から予定しています。札幌医大との連携により、さらなる普及と質の向上を目指します。
包括連携協定の詳細
今回の協定は、以下のような目的を持っています。
- - デジタルトランスフォーメーションの推進:保健・医療・福祉をはじめとする様々な分野でDXを推進する。
- - 共同イベント・セミナーの開催:教育や研究を通じて地域社会の発展にも寄与する。
- - 相互連携の強化:両者のリソースを活用し、新たな医療サービスを生み出す。
「DICTOR®」の特長と利用イメージ
「DICTOR®」は、以下の特長を持っています。
1.
リアルなデジタルクローン生成:医師が短時間でサンプル音声と顔動画を登録するだけで、デジタルクローンを生成。
2.
手軽な動画制作:従来の方法に比べ、手間いらずで動画を生成でき、必要に応じて修正も可能です。
3.
視聴管理機能:生成した動画は患者の診察券番号と紐付けられ、視聴履歴を管理することができます。
このサービスにより、医療従事者は業務負担を軽減しつつ、より質の高い説明を患者に提供できるようになります。重要な情報が簡潔に伝えられ、患者の理解度が向上することも期待されます。
今後の展開について
札幌医大とTOPPANは、2026年までにカテーテル手術やロボット支援下手術に関する説明文を共同で開発する計画です。これにより、多くの医療機関で「DICTOR®」を活用した説明動画が流通し、全国的な医療水準の向上を図ることを目指しています。さらに、医療DXに向けた新たな取り組みとして、両者の技術を融合し、革新的な医療サービスを提案し続ける方針です。
終わりに
医療界におけるDXは、患者と医療従事者の関係を根本から変える可能性を秘めています。札幌医大とTOPPANの連携は、未来の医療を形作る重要な一歩となるでしょう。今後の成果に期待が高まります。