損切り判断における心理的ハードルの実態
合同会社WOZが実施した調査によると、FX(外国為替証拠金取引)を行うトレーダーの約70%が、損切りの判断に苦しむという状況が浮かび上がりました。この調査は、2025年7月8日から9日にかけて行われ、対象となったのはFX取引を行っている1,011名の人々です。
損切り経験の実情
調査結果によれば、損切りを一度も行ったことのない人は僅か9.8%で、ほとんどのトレーダーが何らかの形で損切りを経験していることが明らかになりました。特に「1~5回」損切りを行ったとする回答が31.3%を占め、「31回以上」の頻繁に損切りを行っているトレーダーも2割に上ります。このことから、FX取引において損切りは避けて通れない重要な判断であることが認識されています。
また、損切りの判断が特に難しく感じられるのは、急な為替変動であることもわかりました。54.5%がこの理由を挙げ、次いで「損失が大きいとき」(45.0%)や「損失が続いたとき」(31.8%)という意見も寄せられています。このように、マーケットの急激な動きが損切り判断に大きな影響を与えている様子が見て取れます。
心理的障害と損失の経験
調査では、約7割のトレーダーが「適切に損切りをしなかったことで大きな損失を出した経験がある」と回答しました。具体的には、「売却のタイミングを間違えた」「予想以上の円安が続いた」「欲を出してしまった」という声が聞かれました。
損失を出してしまった背景には、売却のタイミングを見誤ることや、予期せぬ変動を読み切れなかったケースが目立ち、「反転するかもしれない」「失うことを避けたい」という感情が判断に影響を与えていることも指摘されています。
損切り基準の設定と実行
重要なのは、損切りに関する明確な基準を設けているトレーダーがどのくらいいるのかという点です。調査によると、基準を設けながらも実際に守れていないという回答は、21.2%に達しています。心理的な障害がこの実行に対して大きなブレーキをかけていることが伺えます。
また、自動損切り機能の活用については、まだ33.5%が「活用していない」と回答。逆指値やOCO注文を利用しているトレーダーもいますが、手動での判断に依存している現状が見受けられました。
感情が判断に及ぼす影響
さらに、感情が損切りの判断に影響を与えたことがあると答えたトレーダーは約80%にも上り、「確定することへの恐れ」や「後悔したくない」という心理が強く働いていることが明らかになりました。この心理的なプレッシャーは、合理的な判断を損なう可能性が高く、経験豊富なトレーダーでさえも影響を受けているのです。
まとめ
今回の調査結果から、FX市場における損切りの重要性が改めて浮き彫りになりました。損切りを行うことで損失を最小限に抑えることができるにもかかわらず、その判断には多くのトレーダーが悩んでいる実態が確認されました。必要だと理解しつつも、実際に行動に移すことが難しいという矛盾を解消するためには、心理的な対策や自動化ツールの活用が今後の鍵となるでしょう。金融に関する情報を提供するWOZmediaは、こうしたトレーダーの支援を目的に、さまざまな情報を発信し続けます。