AED使用に関する市民意識調査:普及に向けた課題と展望
市民がAED(自動体外式除細動器)を使用できるようになって20周年を迎えました。しかし、オムロン ヘルスケア株式会社が実施した調査によると、AEDの使い方を知っていても、実際に使用に踏み切れる人はわずか2割にとどまるという現状が明らかになりました。
調査では、20代から70代の600人を対象に、AEDに関する意識や使用経験について質問しました。その結果、AEDの使い方を「知っている」と回答した人は49%と全体の約半数に達しました。年代別に見ると、20代では63%と最も高い割合を示しました。一方で、実際にAEDを使用すべき場面に遭遇した場合、「自ら率先してAEDを使って応急処置をする」と回答した人はわずか14%にとどまり、年代別でも20代が23%と最も高い割合でした。
なぜ、AEDの使い方を知っていても、実際に使用に躊躇する人が多いのでしょうか?
調査結果からは、いくつかの要因が浮かび上がってきました。まず、一つ目の要因として「AEDの使い方がわからない」「間違った使い方をしてしまうのが怖い」といった不安感が挙げられます。確かに、AEDは命に関わる機器であり、使用方法を正しく理解していないと、かえって危険な状況を招く可能性も否定できません。
二つ目の要因として、「命に関わることなので使用を躊躇してしまう」という心理的なハードルが挙げられます。AEDの使用は、あくまでも医療行為の一環であり、専門知識や訓練が必要です。実際に使用することで、法的責任や精神的な負担が生じる可能性も考えられます。
これらの課題を克服し、AEDの普及を促進するためには、いくつかの対策が必要と考えられます。まず、AED講習の機会を増やし、誰でも安心して使えるようにすることが重要です。特に、職場や学校など、人が集まる場所での講習を充実させることで、より多くの人がAEDに触れる機会を得ることが期待できます。
さらに、AEDの設置場所を増やすことも重要です。特に、公共施設や商業施設など、人が多く集まる場所に設置することで、いざという時に誰でも簡単にアクセスできる環境を整えることができます。
また、SNSなどを通じて、AEDの使い方や重要性に関する情報を積極的に発信していくことも重要です。誰でも理解しやすい情報発信を行うことで、AEDに対する不安感を解消し、より多くの人が積極的に使用できるように導くことが期待されます。
AEDは、突然の心停止から命を救うための重要な機器です。一人でも多くの人がAEDの使用方法を正しく理解し、いざという時に躊躇なく使用できるようになることを願っています。