ゼロ磁場の量子ビット
2024-10-15 17:43:54

ゼロ磁場で動作する超伝導量子ビットの開発がもたらす量子コンピュータの未来

ゼロ磁場で動作する新型超伝導磁束量子ビットの開発



1. はじめに


近年、量子コンピュータは学術界や業界で熱い注目を集めており、その実用化に向けた研究が進められています。このたび、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を中心に、日本電信電話株式会社(NTT)や東北大学、名古屋大学と協同で、ゼロ磁場で最高の動作を実現する新型超伝導磁束量子ビットの開発に成功しました。この技術は、量子コンピュータの小型化や高機能化に貢献する可能性を秘めています。

2. 普通の超伝導量子ビットの課題


従来、超伝導磁束量子ビットは、外部のコイルを使用して磁場を生成し、動作を最適化していました。しかし、この方式には外部の低周波ノイズの影響を受けるリスクがあり、大規模な集積化においては課題でした。特に、周波数衝突などの干渉が生じやすく、スケーラビリティに限界がありました。

3. 新型量子ビットの革新


新たに開発された量子ビットは、強磁性ジョセフソンπ接合を採用しています。これにより、コイルなどの外部回路を必要とせずに自発的に最適動作点に達することが可能です。具体的には、量子ビットはゼロ磁場での動作が実証され、1.45マイクロ秒のコヒーレンス時間を確認しました。この数値は、従来型と比較して360倍もの改善を示しており、量子コンピュータの性能向上に大きく寄与することが期待されています。

4. 開発における科学的背景


量子コンピュータは、情報社会で人物・物質の多様なデータを解析する上で不可欠な装置となると考えられています。特に、超伝導量子ビットはその制御の容易さから高い期待が寄せられています。しかし、従来の超伝導素子は設計や製造が複雑であり、改良が求められていました。

5. 今後の展望


今回の成果は、量子回路の小型化や高効率化に向けた新たな道を開くものです。研究チームは、コヒーレンス時間をさらに延ばすための試験や、素子特性を向上させるための最適化を推進していく方針です。今後、量子コンピュータのチップなど、実社会での実用化が進む場面が見込まれています。

6. まとめ


ゼロ磁場で動作する超伝導量子ビットの開発により、量子コンピュータの未来は一変する可能性があります。特に、外部磁場が不要となることで、回路の簡素化や省エネ効果、コスト削減が期待され、量子技術のさらなる発展の基盤となるでしょう。今後の研究と実用化に注目が集まります。


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