CO2をコンクリートに固定する新たな挑戦
東京都板橋区に位置する板橋清掃工場で、日鉄エンジニアリング株式会社を中心とするCPコンクリートコンソーシアム(CPCC)が行った実証試験が注目を集めています。この試験では、清掃工場から排出されるCO2を独自に開発した可搬式のCO2回収装置「m-ESCAP™」を使用して分離し、そのCO2をコンクリートブロックに固定することに成功しました。実証結果として、コンクリートブロックに43kg/m3のCO2を固定したことが確認されました。
実証試験の背景
この取り組みは、CO2を活用した環境対策の一環として行われてきました。CPCCは、CO2の吸収固定によってカーボンネガティブを実現するために、清掃一組および日鉄エンジニアリングと協力してきました。具体的には、板橋清掃工場の排ガスから回収されたCO2を清掃工場敷地内に設置されたCO2固定実証設備に供給し、コンクリートブロックに固定するというプロセスです。この取り組みは、地域社会におけるCO2の循環利用および脱炭素化を目指しています。
研究の連携と成果
実証試験は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業として実施されました。このプロジェクトは、「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」と「CO2分離・回収を前提としたCN型廃棄物焼却処理全体システムの開発」という異なる研究分野の連携を通じて、相乗効果を生み出しています。これにより、CO2回収の社会実装へ向けた重要なステップが踏み出されました。
今後の展開
実証試験の結果を受けて、CPCCは大阪・関西万博の「フューチャーライフ万博・未来の都市」パビリオンにおいて、回収し固定したCO2を用いたコンクリートブロックをベンチとして設置する計画も進行中です。これにより、会場を訪れる人々に、CO2を利用した新たな環境対策の未来を直接体験してもらうことができます。
まとめ
日鉄エンジニアリング、清掃一組、そして安藤ハザマが協力して行った今回の実証試験は、カーボンニュートラルの実現に向けた重要な取り組みです。今後も、この技術がさらに発展し、幅広い分野に貢献できるよう期待が寄せられています。環境問題に対する意識が高まる中、CO2の固定を通じて持続可能な社会へと進化することが求められています。